受験生と伴走㊱ 過去問はどれくらいやればいいの?
受験生と伴走㊱ 過去問はどれくらいやればいいの?

この時期になると、現状と必要な力との差がどれくらいなのかを確かめておくように言われるかもしれません。

その時に利用するのが、過去問です。模試では偏差値という値で現状を知らせてくれますが、これは模試の問題が出た場合の時です。各大学によって問題の傾向が違うため、志望校の問題傾向に合わせた場合、自分はどれくらい点数が取れるのかを知っておく必要があります。

そこで今回は過去問をどれくらいやればいいのかを考えてみたいと思います。
センター試験の場合
センター試験の場合、マーク模試がセンター試験を意識して作られているので、模試の実力がそのまま反映されやすいと言えるでしょう。しかし、各実施母体によって問題の傾向に若干の偏りがあります。また、受験する層も変わってくるので、注意が必要です。
そこで、センター試験の過去問をやってみて、実際にどれくらいの点数が取れるのかを計っておくといいでしょう。1年分では、マーク式特有のなんちゃって正解が反映されているのかどうか分からないので、3年分くらいを目安に解いてみてください。最新の過去問はあとで使いたいので、2年前から4年前の過去問でやってみましょう。
3年分と聞くと、それくらいで良いのかと思う人がいますが、
国語80分
英語80分
数学①60分
数学②60分
社会①60分
社会②60分
理科①60分
理科②60分
となっています。実際には理科と社会で選択があるので、全てを受ける必要はないかもしれませんが、合計で8時間40分かかるのです。もちろん、速く解ける教科もあるので、そこまで時間が掛かるとは思いませんが、目安としてこれくらい掛かってしまうのです。これを3年分やるとなると、結構な時間が掛かります。
今回は現状と実力を測ることが目的なので、復習はさらっとで良いでしょう。後日できるように、復習が必要な箇所に印を入れておくといいかもしれません。
1日6時間勉強する人でも4,5日掛かります。4時間くらいだと1週間くらいかかってしまいます。このことから、勉強時間が短くて、5教科7,8科目を受験するというのは現実的ではないことが分かると思います。
私立大学の場合
私立大学の場合、販売されている赤本の過去問の量が非常に少ないです。慶応や早稲田のような有名大学であれば、国語や英語と教科で縛って過去問が売られていることがありますが、大方の私立大学では、○○学部といった縛りで売られていることがほとんどです。
少ないところでは2年分、多くても5年分がやっとじゃないでしょうか。最近は3年分が主流だと思われます。センター試験が20年分以上あることを考えるとかなり少ない状況です。
ここでは3年分といいたいところですが、1年分くらいは残しておきたいとので、2年分としておくといいでしょう。もし、学校や予備校で、それよりも数年古い問題が手に入るようでしたら、3年分やってみるといいでしょう。
最近の私立大学はマーク問題が主流ですので、センター試験と同様の解き方になると思います。ただし、教科によっては「マークはマークでも解き方が異なる」場合があります。特に国語は要注意です。マークといっても、選択肢の作り方が異なります。センター試験は誤読によるミスを確認する選択肢であるのに対して、私立大学では選択肢は本文に照らし合わせて正解だが、今聞かれていることはどの内容なのかを問うてくるところがあります。よって、本文にあるかないかだけの解き方では対応できなくなってきますので注意してください。
国公立二次試験の場合
国公立二次試験を受ける人は、センター試験を避けることができないので、センターの過去問を中心にやっておくと良いでしょう。どうしても気になる場合にだけ、国公立の二次試験の過去問をやってみるといいでしょう。
こちらも過去問の数に限りがあります。よって、それほど多くの年度は使えません。さらに、試験の前に練習をしておきたいことを考えると、1年分だけ使うのが妥当でしょう。
国公立の二次試験は記述問題が多いので、まぐれ当たりというのは非常に少ないでしょう。自分で解答を導き出す練習が必要ですので、過去問をやってみて、現状でどれくらいの解答が書けるのかを図っておくことです。
後は、どういう問題が出題されているのか、問いだけを確認しておくのも良いでしょう。英語だと、英作文なのか日本語訳を書くものなのか。その際、文法や構文が問われているのか、本文の内容理解上、避けて通れないところを問われているのか見極めておくと良いでしょう。古文は現代語訳や品詞分解など、どの程度出ているのかを見ておくと、問題演習の中で何に重点を置けば良いのか見えてきます。
国公立の過去問に関しては、実力を測る以外にも、大学ごとの傾向として、どういう問題が出されるのかを掴んでおくと良いでしょう。
さいごに
過去問は最後の実戦演習のために使うものという考えを持った人がいます。これは高校受験がそのようなものだったからかもしれません。しかし、大学入試では1年分くらいを置いておけば、後は対策を練るための対象として、分析すべきものです。
大学の過去問は載っている数は少ないですが、よく似たレベルの大学が多数あり、問題傾向が似ているところも多数あります。志望校の問題を分析してできるようにした後は、似たところの問題をやって、できないことをできるようにしていけば良いのです。そうすることで、全体の点数も上がってきますので、志望校合格の可能性がぐっと上がってきます。
過去問を有効活用して、今後の学力向上に役立てていきましょう。