高校レベルの漢字の覚え方
高校レベルの漢字の覚え方
漢字がなかなか覚えられないという声をよく聞きます。小学生のころから漢字が苦手なまま高校生になってしまうと、苦手意識が先行して、余計に苦手になってしまいます。
今回は漢字が苦手な人のために、漢字の覚え方について説明してみましょう。
目次
基本は複数の情報をセットにすること
漢字を覚えるのが苦手な人は、漢字の何を覚えたらよいのかわかっていないという状況にあります。
漢字の形?
漢字の読み?
漢字の意味?
部首?
画数?
一度にたくさんの情報があるので、悩んでしまうかもしれません。最終的にはこれらに加えもう少し覚える必要があるのですが、それは手順を追って確認します。
今わかっておいてほしいことは、「形と読みと意味」は必ずセットにする必要があります。部首や画数はある程度法則があるので、それを覚えておけば、完ぺきではないにしろ、対応可能です。
この「形と読みと意味」ですが、「意味」の部分は、辞書にある意味をそのまま覚えていては効率が悪いです。普通にできる人や得意な人からすると当たり前のことなので、あまり書かれていませんが、「熟語」から意味を捉えています。
「形と読みと熟語(意味)」
例えば、「推」という漢字を覚えるとします。辞書的な意味を載せると
読み 音読→スイ 訓読→お(す)
意味 ①すすめる。②おしはかる。
この漢字にはもう少し意味がありますが、最初に覚える段階としてはこれくらいの情報になります。これくらいなら暗記すれば大丈夫かな?と思えるかもしれません。
しかし、この中で理解できていないことはないですか?「読み」は覚えるしかないとしても、「意味」は分かりますか?「②おしはかる」とありますが、この意味は分かるでしょうか?
ここがポイントです。漢字を覚えるときに、よくわかっていないまま覚えていること多くないですか?よくわかっていないことは覚えにくいので、できなくなってしまいます。そうすると「よくわからない」「覚えられない」が積み重なって、苦手意識がさらに強まってしまうのです。
意味の意味を調べる
さて、この漢字を覚えるために最も役に立つのが「②おしはかる」の意味を知ることです。試しに、国語辞典を引いてみましょう。
「推し量る・推し測る」
既知の事柄をもとにして、未知の事について見当をつける。推量する。推測する。
意味としては、「よく分からないことでも、知っていることからこうじゃないかな?って考える」ということです。
さて、ここであることに気づきます。「推量」と「推測」とあります。「量る」「測る」を「はかる」と読んでいます。この漢字についても少し知っておくと良いでしょう。
「量」
読み 音読み→リョウ 訓読み→はか(る)
意味
①物の重量、容積、長短、広さ、多少などをはかる。
②みつもる。おしはかる。かんがえる。
③ます。かさ。ちから。
「測」
読み 音読み→ソク 訓読み→はか(る)
意味
①水の深さ、物の長さ、広さ、高さ、大きさなどをはかる。
②おもいはかる。推量する。
さて、「量」と「測」の漢字についても知ることができました。「はかる」とは「おしはかる」という意味でもあり、「かんがえる」というニュアンスを持っていることがわかります。
知識を整理しよう
ここまでで出てきた知識を整理して「推」という字について整理しましょう。
形「推」
読み 音読→スイ 訓読→お(す)
意味 ①すすめる。
②おしはかる。(知らないことでも、知っていることから意味を考える)
関連語 「推量」・「推測」
「量」も「測」も「はか(る)」と読む。
さて、このように整理しておけば、ひとまず必要な情報は揃います。「推」という字から「推量」「推測」という語彙が広がりましたし、「量る」「測る」という訓読みも覚えることができます。一つの漢字を覚えたとしても、できる人は関連して覚えていることが多く、情報量の差がついてきます。
上級者になると…
上級者はもう少し漢字の知識を広げることができます。何か連鎖するものがあれば、繋げて覚えてしまうのです。例えば今回の例でいえば「量る」と「測る」を「はかる」と読みました。この「はかる」という言葉はたくさんの漢字があてはめられるのです。このように訓読みが同じで、漢字が異なるものを「同訓異字」といいます。
「計る・測る・量る・図る・謀る・諮る」
①「計・測・量」…数量を調べて知る。
②「図・計・測・量」…物事を推し考える。
③「諮・計」…よいわるいなど見当をつける。
④「謀・計・図」…企てる。もくろむ。
⑤「謀」…だます。欺く。
たくさんありますね。これをいきなりすべて覚えるのは難しいですが、慣れてくれば、頭の中でまとまりをもって覚えることができるようになります。
手順を振り返ってみましょう
漢字の覚え方ですが、まずは、漢字の情報を引き出しましょう。「形」「読み」「意味」を調べます。そして、「意味」に着目して、その中でわからない言葉を調べてみましょう。調べていくうちに、同じ意味の漢字や読みが出てくることがあります。次はそれを調べます。
もし、意味の中にわからないものがない場合は、調べた漢字を使った熟語を思い浮かべてください。出てきた熟語は知識として定着しているので、覚えやすくなります。もし出てこなくても、辞書で調べれば出てくるので、調べて覚えやすそうなものをピックアップしましょう。
覚えたい漢字と関連するものを見つけ、それを情報としてセットにしてみてください。
ここまでできれば、多くの漢字の習得が速くなります。1つの漢字で複数の言葉を覚えられるからです。ただし、一度にたくさん覚えようとすると大変なので、自分の覚えやすい量で止めるようにしてください。
上級者を目指す場合は、同訓異字を探すなどして、知識の幅を広げていきましょう。
さいごに
高校生の漢字の学習は、「理解」を中心に行ってください。小学生や中学生は意味を理解する前に、書いて練習することで体得することが可能ですが、高校生くらいになってくると脳の発達段階の関係で、書くだけでは覚えにくくなっています。
漢字が苦手だという高校生の多くは、脳の機能が変化して、覚えづらくなっている「書いて覚える」という方法をとってしまい、非効率になっていることが多いです。「理解」を足してやることで、格段に覚えやすくなります。また、知識の連鎖を使えるようになってきますので、関連項目を引っ付けておくと情報量増えて、高校生でこなさなければならない勉強量に追いつくことができます。
あとは、触れる機会を多くしましょう。いくら漢字の連鎖を作ったとしても、しばらく見ないと忘れてしまいます。定期的に漢字の問題を解き、そのたびに、確かこれだけの知識があったなと一瞬でいいので思い出すことを繰り返しておくと定着します。
漢字の書き取りが苦手な場合は、書いて練習することも必要ですが、漢字を構成するパーツについて覚えてしまうと楽になります。漢字のパーツについてはまた別の機会に勉強することにしましょう。