休校中の登校日の留意点

休校中の登校日の留意点

 

majime
マジマナ

緊急事態宣言が延長されました。悪化の一途をたどっていたところから、回復しつつありますが、まだ油断は許されません。

 

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マジマナ

休校の延長が宣言されていますが、一部の自治体では登校日を設定して、学校再開後の学習がスムーズに行くようにすることと、健康チェックを行うように指示がおりているようです。

 

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マジマナ

通知の内容から考えられる状況を考えてみたいと思います。

 

 

 

登校日の目的

登校の目的は大きく三点です。

 

①生徒児童の心身の健康観察

②生活習慣や学習状況の確認

③学校再開後にスムーズに学校生活が送れるようにすること

 

①については、現状では状況が分からないので確認したいということなのでしょうが、学校が全てを把握しておく必要があるのか、少々疑問です。ただし、家庭の事情で、普段から社会的ケアの必要な生徒がいる場合は、確認する必要があると思いますので、意義はあるでしょう。

 

②については、学校の管理ではなく、家庭の管理だと思います。ただし、こちらもケアの必要な生徒がいる場合は、確認しても良いと思われますが、登校が義務でない場合、登校しない生徒が存在し、確認が難しいのではないかとも思われます。

 

毎日登校できないのであれば、生活リズムの狂いは調整できません。学習の遅れを出したくないために、確認という作業を通して、責務を果たしたことにしたいと教育委員会が考えているという風に読み取れます。

 

③については、教育課程を変更せずに、今年度を乗り越えたいという大人の事情が見え見えです。9月再開論もありますが、いきなり実施するのはかなり厳しいと思われます。今年度は学習内容を見直して、調整することも考えられますが、その作業にも時間と労力が掛かるので、夏休み短縮など取りやすい方法で済ませたいということでしょう。

 

健康診断やオリエンテーションなどを行っても良いという自治体もありますので、再開後授業がすぐに始められるようにしておいて欲しいと考えているところもあるようです。むしろ、この考えが設定されているところは、再開後のスムーズな流れをよく考えているといえるかもしれません。

 

これらの目的は、危険を冒してまでする必要があるのか疑問です。最大限の対策を講じて行うこととなっていますが、危険性がなくなるわけではありません。5月末まで、あと1ヶ月であれば、耐える方がよいのではないかと考えています。

 

このように、私の立場を明確にした上で、予防対策を確認してみましょう。

 



感染拡大予防策

予防策をまとめてみます。設定された自治体は大体似ていますので、若干異なるところはあっても、ほとんど同じでしょう。

 

①登校日は週1、2回。滞在は2時間まで。

②1教室あたり15人くらいまで。分散登校。

③クラスは奇数、偶数などのように分けて、密を避ける。

④登下校時、通勤ラッシュは避ける。

⑤換気を行う。

 

以前に出ていた分散登校の案とあまり変わっていませんが、人数の制限が少し厳しくなってように思われます。クラスを二分割案が多かったですが、今回はそれよりも厳しく制限しています。

 

この案については、私が以前考えた案と近いものとなっています。

 

 

1クラス15名以下

教室は連続して使わず、一つはあける(1・3・5組のように)

窓を開けて換気できる日のみ

滞在は2時間以内

(「学校は3密を避けられない」)

https://school-s.com/school3mitsu2/

 

 

人数制限に関しては、賢明な判断だと思われます。2mの距離を取るためには20人では厳しいのです。15人にして、目一杯離さないといけません。他の項目に関しても同じような感じですが、「換気できる日」というのはありませんでした。

 

予防策として提示された内容は、これまでのものに比べると調整されたものだと言えると思います。危険性が完全に無くなるわけではありませんが、クラスターを発生させる要因をなるべく解消したものでしょう。

 



予防策の問題点① 1教室15人まで→3交代

1教室の人数制限ですが、15人までとしています。現行の学校では40人クラスが標準です。つまり、「15」「15」「10」という風に3つに分ける必要があるのです。

 

1学年6クラスの高校、分散登校で、奇数クラス「1・3・5」組を集めたとします。それぞれを3つに分けると、9教室必要になります。3学年で27教室です。通常教室を引くと、残り18教室を確保しなければなりません。学校に18教室も特別教室があるのでしょうか。

 

私の知る限り、比較的「展開教室」など余裕のある学校を考えても18教室はありません。それに教室の間隔をあけることを考えると10教室確保できれば良いほうです。

 

分散登校例では、「午前」「午後」の二つに分けていることが多いです。しかし、1度に1クラス全ての生徒を呼ぶのが難しいため、最低でも2回転、教室に余裕がなければ3回転が必要になります。

 

つまり、3日で1クラスが一巡できるということになります。

 

週に1度の登校の場合、3日で終わりますので、その週に収まりますが、週2回登校させようとすると6日必要となりますので、月曜から土曜日まで必要になってしまいます。対応できない学校にとってはかなり難しい事態となるでしょう。

 

 

予防策の問題点② 1教室15人まで→担任対応?全体対応?

この人数制限のもう一つの問題点は、「誰が対応するか」という問題です。

 

生徒の様子を確認して、課題等のチェック、コミュニケーションを考えると、担任が対応したいと思うでしょう。自分のクラスの管理はしたいと思うのが担任の情です。しかし、3回転を一人で担当するのは非常に大変です。このようにする場合は、時間帯を3つに分散しないとできないことになってしまいます。

 

また、一人の先生が、何人もの生徒に時間帯を変えて接触するということは、結局40人相手しているのと変わらず、誰か一人でもコロナウイルスを持っていて、担任が保菌者となってしまった場合、広げてしまいます。

 

以上の観点から、全体での対応が必要になると思われます。

 

では、全体対応の場合どうなるかということです。

 

仮に先ほどの計算で、分散登校した場合、午前に27教室、午後に27教室を確保できたとしましょう。その場合、最低でも27人の教員が必要です。もし、感染拡大防止を考えて、午前と午後連続しないようにする場合は54人の教員が必要になります。よほど規模の大きな学校ではない限り、これだけの人数を確保するのは不可能でしょう。

 

全体対応するにしても、結局は人数の問題で対応できないのです。

 

また、全体対応をした場合、担任と話せる生徒とそうでない生徒が生まれてしまいます。休みの間にあったことで担任に相談したくとも出来ない可能性が大きくなってしまうのです。

 

担任対応では担任の負担の問題と、感染拡大の危険性が大きくなってしまいます。

 

全体対応では、必要な人数の確保の問題と生徒によって不公平が出てしまうとことが問題となります。

 

ここは、各学校で頭を悩ませることになると思います。どちらを取ろうにも問題が生じるからです。現場のことを考えると通知は非常に厳しいものです。40人の学校が多いのですが、その場合の例も載せておくべきだと思いますが・・・そこは現場への丸投げという形なのでしょう。

 



予防策の問題点③ 滞在2時間+通勤ラッシュを避ける

どちらも想定される危険性を回避するために必要な内容だと思われます。しかし、これが組み合わさることで生じる問題があります。

 

それは、時間の確保です。

 

問題点①で取り上げたように3交代が必要になります。1日で何とか一巡させるためには、3つの時間帯の設定が必要です。2時間の時間を単純に割ると・・・

 

(単純計算の例)

9時―11時

12時―14時

15時―17時

 

という形になるでしょう。つめつめで設定してしまうと入れ替わり時に、学校に人密集しすぎるために、下校30分、登校30分として、1時間としました。

 

しかし、この場合、9時登校と17時下校時に通勤ラッシュに当たってしまいます。これでは設定できません。

 

朝の通勤ラッシュを避けると、一番初めは「10時―12時」という時間設定になるでしょう。午前はこの一つの設定で終わってしまいます。

 

帰宅ラッシュを避けるためには、16時までの下校が必要です。「13時―15時」か「14時―16時」の設定のどちらかになるでしょう。

 

となると、どうしても2つの時間帯の設定しかできません。

 

3交代を1日で終わらせるのはいよいよ難しくなります。

 

これは余談ですが、教員の勤務時間を無視したやり方は存在します。(時間帯を上手くずらして出勤させられれば、当てはまりませんが、統一した時間帯に連絡が必要な状態では、かなり難しい方法です。)

 

8時―10時(登校時はラッシュ前。帰宅時はラッシュ後)

11時―13時

14時―16時

 

のパターン。

 

10時―12時

13時―15時

17時―19時

 

のパターン。

 

現実的には前者だと思われます。登校を早めることは十分にあり得そうです。

 



問題解決は学校判断になる

よく言えば、「学校の裁量」です。しかし、これまでの通知で現場の多くは、「丸投げ」と感じていたことでしょう。指示はしたので、守らずに問題が起きた場合は現場の責任になるということです。

 

今回もその可能性が高いので、各学校で判断していくしかありません。

 

今回の登校日に関しては、色々と問題が生じるものだと思います。危険がある中で行うわけですから、ノーリスクというわけにはいきません。

 

あちらを立てれば、こちらが立たずという状況ですから、各学校の実情に応じて、どの選択をするかということになります。

 

問題点①と③は避けられないと思うので、受け入れていくしかないと思われます。問題点②については、どちらを取るかという判断が学校に求められるでしょう。

 

学校の意思決定の上で、校長の判断が大きく影響されると思います。どちらかを取れば安全ということはありませんので、苦渋の選択となるでしょう。

 

 

安全性を高めた方法で取り組んで欲しい

色々な思惑があると思いますが、私は命第一優先だと考えています。

 

生徒の安全面だけでなく、教員の安全面も考えないといけません。

 

無理矢理登校日をこなすのではなく余裕を持たせた方がよいでしょう。

 

よって、次のような形にするのがよいと考えます。

 

①最大人数は15名。ただし、(14、13、13)が望ましい。

②教室の間隔は最低1教室空ける。

③換気が出来る状態で行う。天候により換気できない場合は中止。

④担当は担任と副担(2名)で行う。(情報整理がしやすいように)

⑤滞在時間は最大2時間。極力1時間以内に終えたい。

⑥午前(10時から12時)と午後(13時から15時)。

⑦3日で一巡する。週1日登校できれば良い。

⑧生徒、教員とも、異変を感じたら無理せず休むこと。

⑨授業、行事、クラブ活動などは一切禁止。

 

少々厳しいように感じるかもしれませんが、これくらいの条件を付けてやらないと、第二波を招くことになってしまい、また何も出来ない状況に戻ってしまいます。そうならないための策を講じることが必要でしょう。

 

 

 

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