【高校生必見!】古文の現代語訳はもはや翻訳!?

【高校生必見!】古文の現代語訳はもはや翻訳!?

 

古文の現代語訳が苦手だ!

Google翻訳で古文の翻訳をして欲しい!!

楽して古文の予習がしたい!

 

高校生のあなたが悩んでいる心の声が聞こえてきます。塾講師、高校教員のとき、悩める高校生をたくさん見てきました。

 

時代の進歩で古文がネットで翻訳できるようになっているかもしれない。そんな期待を込めて、実際に古文の翻訳ができるのか確かめてみました!

 

結論からいうと

完璧な訳を手に入れることはできないが大意をつかむために利用できる!

というレベルでした。

 

これを翻訳できたとみるか、できなかったとみるか・・・

 

あなたはどう判断しますか?

 

※本記事は内容が古くなっていたので、リライトをしました。(2022.8.26)

※ChatGPTに翻訳させたらどうなるかを追記しました。(2023.06.25)

※本記事はさらに読みやすくリライトしました。(2023.10.09)

 

 

古文の翻訳が難しい2つの理由

古文の翻訳が難しい理由は2つあります。

 

1つ目は「英語と違って単語の区別が難しい」

2つ目は「複数の意味を持つ単語の適切な訳ができない」

 

実際の翻訳がみたい人は、この見出しは飛ばして、次の項目を見てください。

 



英語と違って単語の区別が難しい理由

 

英語の書き方は、単語ごとにスペースをいれますよね。

 

I have a pen.

 

それぞれの単語の間にスペースがあるので、”I” ”have” ”a” ”pen”と4つの単語があるとわかります。単語単位が明確なのでコンピューターもとらえやすいのです。

 

一方、古文の書き方は単語と単語の間にスペースがなく、文字がずっと続いてしまいます。

 

昔、竹取の翁といふ者あり。

 

日本語を普段から使っていれば、単語が見えるかもしれませんが、コンピューターには認識しづらいのです。

 

日本語の切れ目を的確に入れることができれば、おかしな訳は減るでしょう。

 

複数の意味を持つ単語の適切な訳ができない理由

英語にも複数の意味をもつ単語はたくさんあります。だけど、英語の場合は品詞が違ったり、前置詞とセットになったりと、明確な違いがあることが多く、コンピューターにとっては認識しやすいものです。

 

haveの使い分け

“ I have a pen.” (私はペンを持っている。

“I have to go to school.”(私は学校にいか なければならない。

 

両方とも”have”を使っていますが、訳が全然違います。この場合”to”とセットになっているのでコンピューターは違う”have”だと判断できます。

 

古文の場合

 

ぬの使い分け

我行かぬ時(私が行かない時)

我行きぬ(私は行っ

 

この場合「ぬ」が全く反対の訳になっています。英語のようにセットとなる表現がきまっていないので、コンピューターは判断できなくなります。

 

古文の場合は「接続」で判断する必要がでてきます。

 



実例!現代語訳にする力!

 

では、いよいよ現代語訳がどの程度できるかを見てみたいと思います。

 

今回の対象は以下の3つです。

 

  • ねこいりねこ 古文を現代文にする
  • 古文自動翻訳研究センター
  • ChatGPT

 

今回対象とした作品は『宇治拾遺物語』「児のそら寝」です。

 

本文は次の通り

今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心よせに聞きけり。さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。

この児、さだめておどろかさむずらむと、待ちゐたるに、僧の、「もの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いま一声呼ばれていらへむと、念じて寝たるほどに、「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は、寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふこと限りなし。

 

 

☆この話の標準的な現代語訳をしりたい人☆

『宇治拾遺物語』「児のそら寝」

 

では、それぞれのサイトで翻訳させてみたいと思います。

 

 

①    ねこいりねこ 古文を現代文にする

古文 翻訳」と検索するとトップにあがってきた「ねこいりねこ 古文を現代文にする」さんです。(いつか私の記事をトップ表示にしたいっ!)

 

Javaスクリプトで作成されたサイトなので、ブラウザで翻訳させることができます。Google翻訳のようにお手軽に利用できるのがいいですね。

 

では、訳してもらいましょう。

 

翻訳結果

今は昔、比叡の山に児あった。僧たち、宵の退屈に、「いざ、かいもちいさせよう。」と言ったことを、この児、心よせに聞いた。それでも、し出そうことを待って寝なかろうのも、よくなくてしまおうと思って、片方に寄って、寝ている手段で、出てくることを待ったところに、すでに出しているようすで、ひしめき合っている。

この児、きっと起こそうとしているのだろうと、待っているところに、僧が、「なんとなく申し仕えよう。目を覚まさせなされ。」と言うことを、うれしいとは思うけれども、ただ一度に答えようのも、待ったかとも思うことといって、いま一声呼ばれて答えようぞと、我慢して寝ているうちに、「や、起こしさしあげるな。幼い人は、寝入りなさってしまった。」と言う声がしたので、ああ、がっかりすると思って、いま一度起こせよと、思い寝に聞くので、ひしひしと、ただ食ってしまい食う音がしたので、どうしようもなくて、無期ののちに、「えい。」と答えていたので、僧たち笑うことが果てしない。

 

ところどころ変な表現がありますが、90%くらいあっているので、かなり精度が高いです。

 

このサイトには「天気予報ぐらいの正答率です」と注意書きがありますが、天気予報より当たっています!

 

でも、ちょっとだけからくりがありそうです。いくつかの例文が登録されているようで、今回の話は登録されているようですね。そうでないものは結構ボロボロなのもありました。

 

とはいえ、有名どころは登録されている可能性があるので、教科書レベルなら使えそうですね。

 



②古文自動翻訳研究センター

さて、次はいかにもという名前のサイトです。

 

古文自動翻訳研究センター

 

こちらのサイトでは、「古文翻訳装置」というソフトをダウンロードする必要があるので、PC向きになっています。

 

現在は2019年に公開されたVer3.1が最新になっています。

 

それでは、先ほどと同じ本文を入れてみたいと思います。

 

翻訳結果

子供のタヌキ寝入り

今となっては昔のことだが、比叡の山に子供は存在した。僧達、宵が手持ち無沙汰であって、「さあ、ぼたもちを作ろう。」と言ったのを、この子供が、期待に聞いた。だからといって、し出すようなのを待って寝ないようなのも、よくなかっただろうと思って、片方に寄って、寝ている理由で、現れるのを待ったところ、すでにし出している様子で、ひしめき合っている。

この子供が、かならず目を覚まさせるだろうと、待って座っていると、僧が、「お話申し上げるのでございましょう。目を覚まさせろお与えになれ。」と言うのを、うれしいとは思うけれども、たった一度に答えるようなのも、待ったとも思うからといって、いま一声呼はれ手が答えようかと、我慢して寝ているくらいに、「おい、どうか起こして差し上げないでくれ。おさない人は、寝入りなさった。」と言う声が一面に広がっているので、まあ、苦しいと思って、もう一回起こせよと、思い寝と聞くと、むしゃむしゃと、まっすぐ食べに食べる音が一面に広がっているので、どうしようもなくて、長期ののちに、「はい。」ときらへたりたので、僧達を笑うことが限りない。

 

むむむ・・・何とか話の筋は取れそうですが、現代語訳としては辛いものがあります。

 

ストーリーが全く分からない時に、あらすじをつかむために使用するのならありかもしれません。完全な現代語訳を手に入れるために使うのは難しそうです。

 

 

Chat GPTで古典を翻訳!

 

話題のChatGPTに古典を翻訳させるとどうなるのでしょうか?もし、完璧な現代語訳をしてくれるなら、使わない手はないですよね。

 

では、翻訳結果を確認してみましょう。

昔、比叡の山には子供がいました。僧たちは夜の静かな時間に、「さあ、かいもちひしましょう。」と話していました。この子供は心を寄せて聞いていました。しかし、出かけるのを待っているうちに眠ってしまうかもしれないと思い、片方に寄りかかって眠っていたところ、出かけるのを待っている間に既に出発してしまったような様子で、騒ぎながら行ってしまいました。

この子供は驚かせようと思って待っていたのですが、僧たちが言うには「おどろかせたまえ。」ということだったので、喜びましたが、一度に行くのか待っているのか分からないので、もう一度呼ばれるまで待っていると、その間に眠りに落ちてしまったところで、「お、起こしたってまつりましょう。おさない人は、寝入ってしまいました。」という声が聞こえました。私は申し訳なく思いながら、もう一度起こされることを待っていると、ただ食べ物の音だけが聞こえてきて、後に何もなかったので、「えい。」と言ってやってきました。僧たちは笑いが止まりませんでした。

 

書き出しはいい感じですね。3文目まではOKでしょう。しかし4文目で話がおかしくなっていきます。「出かける」で話がずれてしまいました。

 

また2段落目の書き始めも困った訳し方になっていますね。出かけていったのが誰なのか不明になってしまっています。

 

上記2サイトに比べると現代語訳の精度は高くないと言えそうですね。

 



大意をつかむために使える!

 

以上の結果から、本文が登録されているものであれば、かなりの精度で現代語訳が手に入りますが、そうでない話は難しそうです。

 

しかし、大意をつかむ程度の訳はしてくれるので、話がまったく分からない!というときには役に立ちそうですね。

 

ただ、どうしてもある程度整った現代語訳がほしいという人は困ってしまうでしょう。かといって、図書館に行って本を探すのは面倒だと思ってしまいますよね。

 

その時は、手前味噌ではありますが、当サイトの古文の倉庫をお使いください。

古文の倉庫

 

教科書に出てくる文章を中心に本文と現代語訳を載せています。また、文法や読解問題を作成しているものもありますので、日常の勉強の役に立つと思います。

 

古文の翻訳はまだまだ未完成の領域です。現代を生きる私たちは地道に努力して読み進め、大きくつまずいたときに、翻訳の力を借りて読んでいくようにしましょう。

 

さいごまでお読みいただきありがとうございました。

 

 

まとめ

完璧な訳を手に入れることはできないが大意をつかむために利用できる!

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