『枕草子』「はしたなきもの」
『枕草子』「はしたなきもの」
使用時期
中学生でも知っている有名な作品『枕草子』です。「春はあけぼの」は中学校でも扱われることがあり、暗唱をした経験のある人も多いでしょう。
今回の話は、高校1年生で習うことが多い作品です。文法としては敬語が多く使われていますので、1年後半に扱うことが想定されます。
ただし、敬語よりも当時の時代背景や物語性を考えて、1年中盤で扱うところもあるでしょう。
本文
はしたなきもの、こと人を呼ぶに、我ぞとさし出でたる。ものなど取らする折は、いとど。おのづから人の上などうち言ひそしりたるに、をさなき子どもの聞き取りて、その人のあるに言ひ出でたる。あはれなることなど、人の言ひ出で、うち泣きなどするに、げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつと出で来ぬ、いとはしたなし。泣き顔つくり、けしき異になせど、いとかひなし。めでたきことを見聞くには、まづただ出で来にぞ出で来る。
現代語訳
間の悪いもの。(私は)ほかの人を呼んだのに、自分だと思って出て来たの。ものなどあげるときは、いっそう(間が悪い)。自然のなりゆきで人のうわさなど悪口を言ったところ、幼い子どもが聞いていて、うわさの主がいる所でしゃべりだしたの(は、間が悪い)。かわいそうな話題などを、人が話し出して、泣いたりするのに、本当にかわいそうだと思いながら聞いているのに、涙がすっと出て来ないのは、本当に間が悪い。泣き顔を作り、悲しげな様子をするけれども、ちっともかいがない。すばらしいことを見たり聞いたりするときには、何よりも先に涙がどっととめどなく出てくる(のも、妙なものだ)。
リンク集
情報量が多いですが、情報収集の入り口としては良いでしょう。
ジャパンナレッジのサンプルページです。有料のサービスですが、図書館だと閲覧できる場所もあるので、調べてみると良いでしょう。
国語以外も色々載っています。『枕草子』の他の現代語訳も見られます。
NHKのネット版には授業で見せたい動画があります。今回は『枕草子』に関する話がありました。(おはなしのくにクラシック)