小学校教員採用倍率2.8倍の危機

小学校教員採用倍率2.8倍の危機

 

タイトルの通り、今や教員採用試験の倍率は危機的な状況にある。「公立小学教員の採用2.8倍で過去最低 「危険水域」割る」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191223-00000065-mai-soci)のニュースを見て、採り上げるべき問題だと直感した。

 

質を維持するために必要な倍率は3と言われている。3に近づくだけでも、3を下回るところが出ている可能性があるので問題だが、平均が3を割り込んだ形になっている。記事から、倍率の低いところと高いところを拾う。

 

<倍率の低い都道府県・政令市>

 

新潟県1・2

 

福岡県1・3

 

佐賀県1・6

 

北海道・札幌市1・7

 

北九州市1・7

 

<倍率の高い都道府県・政令市>

 

兵庫県6・1

 

高知県5・8

 

相模原市5・8

 

群馬県5・5

 

三重県5・0

 

※北海道と札幌市は合同で採用

 

※東京都、大阪府、熊本県、堺市は全学校種の倍率のため除いた

 

これを見ると、思ったよりも事態は重大だ。団子状態で3前後に集まっているのならまだしも、1.2倍と6.1倍では天と地ほどの開きがある。1.2倍などちょっと人気の公立高校入試ではないか。倍率が3倍あれば、落ちた人の方が多いので、難しかったねと言える。しかし、1.2倍で落ちるとなると、相当問題があるのではないかと疑ってしまう。

 

採用の仕方による問題もあるとされているが、そもそも人が集まらないという現状が大きい。仙台市の募集要項にあるモデルの先生は全てが超勤状態である。「モデル教員、やっぱり超勤 仙台市教員募集パンフの全員が1日9時間以上勤務」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191219-00000014-khks-soci)の記事を見ると、ブラックな労働環境がうかがい知れる。

 




 

長時間労働、残業代が出ない、教員間いじめ、生徒のいじめ対応、モンスターペアレント対応、近隣からの苦情対応・・・挙げればきりがないくらい、問題が山積みである。近年の教育現場を見ていると、「勉強を教えたい」という気持ちの人は教師にならない方がよいとさえ感じてしまう。「滅私奉公が好き」という状態の人にお勧めかもしれない。

 

小学校は学校生活のスタートラインであり、勉強の礎が築かれる大切な時期である。その時期の教育を行う人が倍率1.2倍で入ってきた人となると・・・全てがそうではないだろうが、勉強が嫌いな教師が勉強嫌いの生徒を量産するかもしれない。よこしまな気持ちの「子どもが好き」という者が紛れているかもしれない。今でも一定数いるのは間違いないが、そのような人物の可能性が格段に高まることは言えるだろう。

 

これは非常に危機的な状況だ。このまま手を打たなければ、今はすでに公教育崩壊の一歩を踏み出しているはずだ。

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