高校入試における漢字の出題範囲
高校入試における漢字の出題範囲
いよいよ公立高校の入試が始まりますね。都道府県によって日程が異なるので、一概に同じだとは言えませんが、3月が勝負となります。
今回は漢字の出題範囲を変えるということに着目して見たいと思います。
※この記事は2023年1月3日に情報を更新しました。
目次
大阪府教育委員会による漢字の出題範囲
大阪府教育委員会のHPに漢字(R3年度のみ)と英単語の出題範囲に関するデータがアップされています。各自治体も探すとあるのかもしれませんが、比較的分かりやすいところにあったので参考にしてみました。
R3年度は一部の漢字が除外されました。R4・5年度は漢字に関する資料が掲示されていませんでしたので、除外なしが出題範囲とみた方がよいですね。
参考
網掛けの部分がR3年度で除外されたものです。
どうですか?出題範囲の漢字が意外と多いなあという印象を持たれたのではないでしょうか?
覚える必要のある漢字は約2100字!?
この一覧では30字×70行+αで構成されています。あ~わまでの見出しを引いて考えると約2100字の漢字が載っていることになります。
ちなみに、常用漢字が2136字です。(Wikipediaが分かりやすいです。)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E7%94%A8%E6%BC%A2%E5%AD%97%E4%B8%80%E8%A6%A7
ほぼ一致しますね。常用漢字全てが出題範囲・・・ということになっています。
これって非常に多いと思います。むしろ多すぎます。
常用漢字全てのレベルとは?
漢字の学習において、最も参考となる基準は漢字検定だと思われます。中学生レベルとして想定されているのは4級と3級です。
4級:中学校在学程度:1339字:200点満点70%程度
3級:中学校卒業程度:1623字:200点満点70%程度
準2級:高校在学程度:1951字:200点満点70%程度
2級:高校卒業・大学・一般程度:2136字:200点満点80%程度
漢字検定HP https://www.kanken.or.jp/kanken/outline/degree.html
常用漢字ほぼ全てと言うことは高校卒業レベルということです。これを高校入試で求めるのは本気なのでしょうか?と思ってしまいます。
本当の出題範囲は?
ここからは過去に出題された漢字で考えてみましょう。
大阪を見てください。
平成29~28年度
昔話の大きな特徴。
興味は湧かない。
非常に単純化したかたちで表現する。
僕も内心自慢に思っていた。
よく晴れた青空を背景にする。
鋭く真っ直ぐに伸びて、存在感を顕わにしている。
人間の心に絶えず生滅し続けている感情。
新鮮な感動を受ける。
感動は自然を目で見た瞬間に起こる。
これでは比較は無理だから、結局諦めました。
基本的な幾何学形態との類縁性。
緊張感を孕んだ深い静寂の世界。
色彩をもつ花が美しいから花瓶に挿す。
私たちの祖先。
生きることへの励みを見出す。
そんな言い方は、冷たい言葉として響きます。
ある行為をする人。
言葉の変化に敏感な人。
紙の書物を読むほうが脳に刺激があってよい。
秋は運動会や学園祭など忙しい季節だ。
快調に読み進むことができる。
必要なものを、他者との関係の中で交換している。
また自分にとって望ましくなるよう統制を試みる。
社会全体の安全や安寧を保つ。
(※問題部分の下線は外しています)
見てもらうと分かるように、それほど難しい言葉は内容に見えますが、難しい漢字も混ざっていますね。
緊張感を「孕んだ」深い静寂の世界。
「はらんだ」
ただ、この部分は過去問を探してみると文章題のようなので、本文が省略されています。この漢字は1級配当で、常用漢字でもないので問われないと思います。もしかすると本文にはルビが振ってあったかもしれませんね。それでも中学生にとっては難しい言葉だと思います。(出題はCだったので、上位校向けです)
このように見てみると、中学生のレベルを逸脱するような漢字は滅多に出ないように思われます。漢検3級までの漢字をマスターしていれば、大体は対応できると思います。ただし、時々その範囲を超えてしまうのだと思います。これはわざとではなく、問題文として使用した文章題に出てくる漢字の都合でしょう。
よって、常用漢字全てを範囲指定しておけば、時々中学範囲を逸脱していたとしても、文句を言われなくなります。そのための対策ではないかと思います。
結局は漢検3級までの漢字を押さえよう
ということで、高校入試にむけては、漢検3級までに配当されている常用漢字をマスターすることを目標に行うとよいでしょう。
3級:中学校卒業程度:1623字:200点満点70%程度
漢字検定は70%で合格できますが、できるだけ100%を目指しましょう。
ただし注意してほしいことは、1623字を覚えたら終わりではなく、活用できるレベルまで勉強する必要があります。なぜなら、これは字数であって、「語数」ではないからです。
例えば、2017年度のC問題では「諦め」の読みを問う問題があります。これは漢字一つを覚えたらクリアできます。同じ問題のところで「静寂(せいじゃく)」を問う問題もあります。こちらは「静」と「寂」の組み合わせです。それぞれ音読みを覚えておかないといけません。
他にも「静脈」となれば「じょうみゃく」となり、「静」の読みが変わります。音読みだけでも複数ある漢字もありますので、ただ単体で覚えるだけでなく、熟語として覚えておく必要もあるでしょう。
漢字検定は適切な練習になる
漢字帳で一つ一つの漢字を習得する作業も必要ですが、漢字検定の勉強をすることで、漢字の活用の能力も鍛えられますので、漢検を受けるかどうかは別として、漢検の問題を使って練習することは効果があると思います。
漢検の学習をすれば、「読み」「書き」「書き順」「部首」「四字熟語」「誤字訂正」など漢字の運用能力を鍛えることができます。ステップアップ学習で一歩ずつやってもいいと思いますし、短期間でやりたければ、合格を目指した対策本をやってみるといいでしょう。
さいごに
漢字の学習は日々続けていくしかありません。短期的に集中して全てを習得するのは難しいです。なるべく毎日少しずつ積み重ねる方が良いでしょう。高校入試でも書くことが多いと思いますので、書いて練習するとよいでしょう。
また読み書きだけでは頭に残りませんので、意味も覚えておきましょう。漢字単体の意味から推測できるものもあれば、熟語の意味から漢字一字の意味を見いだすことも出来ます。最近の問題の傾向としては、文脈判断が求められます。意味が分かっていないと同じ音の漢字で間違ってしまうので注意しましょう。