『教育激変』池上彰×佐藤勝 第三章 「アクティブ・ラーニングとエリート教育」 を読んで①
『教育激変』池上彰×佐藤勝 第三章 「アクティブ・ラーニングとエリート教育」 を読んで
今回は中公新書ラクレから出ている『教育激変2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ』を読んで、特に実体験から得たことと同じことが書かれていたので取り上げたいと思います。
1 『教育激変2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ』について
始めに今回のテキストについて触れておきます。
今回のテキストは池上彰氏と佐藤勝氏の対談形式で話が展開していきます。お二方とも、現代の知の巨匠として有名な方ですので、名前は聞いたことがあると思います。
現代に起きている現象に触れつつも教育改革について話を進められています。章立てを紹介しましょう。
第1章 日本の“病”を進行させた教育のゆがみ
第2章 是か非か?二〇二〇年「教育改革」
第3章 アクティブ・ラーニングと「エリート」教育
第4章 テロも教育が生んだ?
第5章 揺らぐ知の基盤 大学をどうする
鼎談 大学入試センター理事長が明かす二〇二〇年度入試改革の真の狙い
このようになっています。東京大学などのトップ校を出たエリートが起こした不祥事について触れたり、「読解力」の劣化について触れたりしています。AI時代に必要な力についても考えを述べられています。
二〇二〇年度の教育改革やセンター試験の新制度について、お二人は賛成の立場をとられています。様々な批判はありますが、最も根本にある意図に賛成されており、それが実現できるような運用がなされることを願っているように読み取れました。
章立てからすると、第4章が驚く内容かも知れません。他の著書でも触れられていたので、私はこの発想を知っていましたが、改めて読むと恐ろしいなと思いました。
今回取り上げるのはアクティブ・ラーニングとエリート教育についてです。
2 アクティブ・ラーニングとは
アクティブ・ラーニングとは、中教審が定義しています。
教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
この用語に関しては、様々な解釈がされ誤解を招く恐れがあるとして「主体的・対話的で深い学び」という表現になりました。とはいえ、基本方針は変わっていませんので、この概念を押さえておくとよいと思われます。
簡単にまとめると、これまでの先生が一方的にしゃべって、生徒は話を聞くだけという受動的な学びをやめ、生徒が自主的に学習し、教師、クラスメイトとともに対話を通して深い学びをしていきましょうということです。
これまでの講義形式の授業を受けてきた世代にとっては、そのような授業が成り立つのだろうかという疑問もあると思いますが、このような授業を成立させようと文科省は考えているわけです。
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