『教育激変』池上彰×佐藤勝 第三章 「アクティブ・ラーニングとエリート教育」 を読んで②
3 アクティブ・ラーニングの取り組み
私は高校で教えていた頃、アクティブ・ラーニングが世間で騒がれる前から、この手法を取り入れようと実験をしていました。
高校二・三年生の授業で、教科書を使った授業と問題集を使った演習系の授業で行ってみました。2つの学年を2年間通してやってみたので、その違いがはっきりとしました。
最初の学年は1年の頃から授業をしていましたので、どれくらいのことを習得できているのか分かっていました。例年国語の偏差値は45くらいの学校でしたが、その年は47くらいありました。
解く→話す→考える→覚える→書く
この流れを繰り返すことを2年生の時からとりいれてみました。ワークをやって最後にもう一度同じ問題で振り返りテストを行うのですが、国語の特性上、記述の解答の書き方の基本を身につけてもらおうと思い、模範例を書き写す作業を繰り返しました。
この作業を通して行っていくと、模範解答と全く同じ解答を書くことができる生徒が現れます。まぐれ当たりの時もありますが、随分と大人が書く解答に近づきました。
この年の国語の偏差値が、この方法に変えて半年後偏差値55まで上がりました。
一方次の学年は、入学時の偏差値は高かったものの、どんどんと下降し、43くらいしかありませんでした。最初の年で行ったのと同じようにしようとしましたが、うまく行きませんでした。
議論できない
最初に行き当たったのは、お互いに話し合いをして、答えを探る時間に議論になりません。分かっている生徒はいるのですが、関係のない話を大声でしてしまう生徒が多く、こちらが話を戻そうと介入しても、5分後くらいにはまた関係のない話をしてしまうのでした。
知識がない
分かっている生徒といっても、前年度より分かる部分が少なく、プリントのレベルを下げておかないとクリアできない状況でした。基本的な知識だと思っていることを知らず、そこからアドバイスしないといけませんでした。基本的な単語や文法の知識など教科書でも注にならず、知っていると扱われているものも理解できていないのでした。
分かっている生徒でもその状態だったので、多くの生徒はそれよりひどい状況でした。
レベルを調整する
そこで最初に最低限必要になる知識を補う時間を作りました。問題の量を減らし、最後のテストの時間を短くしました。
ここで私が取り入れたのは反転授業の方法です。あらかじめ動画で必要となる知識の解説を作っておき、生徒にみてもらいました。この方法は前年度からも念のため作っていたので、学習が追いつかない生徒への救済策でした。
こうすることで、多くの生徒がついてこられるようになり、偏差値も47程度まで上がりましたが、それでも前年度より厳しい状況と言わざるを得ない状態でした。
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