小論文の書き方講座① ―論理(ロジック)―




小論文の書き方講座①

―論理(ロジック)―

 

新シリーズを始めたいと思います。小論文の書き方講座です。これまでは、小論文というくくりで記事を書いていましたが、ここでは「書き方講座」として連載します。

 

小論文はむやみやたらに書けばいいというものではありません。小論文の成立を理解した上で書くようにしましょう。

 

これまでの記事で「作文」と「小論文」の違いを説明しました。その中で、小論文は「筋道を立てて説明をする」ということを伝えたと思います。では、筋道を立てて説明するとはどういう書き方で書くものなのでしょうか?今回はこのポイントに絞って説明します。

 

小論文の基本! 論理(ロジック)とは?

小論文の基本に「論理(ロジック)」があります。これは現代文の評論文と共通の部分です。私がこれまで授業をする中で、評論文や小論文を扱う際には必ず理解してもらっている部分です。

 

評論文を構成する根本概念をまず紹介します。下の説明、図を見てください。

○論理学の基本 ~三角ロジック~

ここで、基本となる三角ロジックについて知っておいてもらいたい。論理的思考を行う際は、三角ロジックを基礎として行っていく。主張(claim)」「情報・事実(date)」「理由づけ(warrant)の三つである。この三つがしっかりしていないと論理は基本的に成り立たなくなる。

 

まず、必ず主張があります。よく言う「筆者の言いたいこと」です。評論文では、筆者は「世間ではこう言われているけど、私はこのように考えます」と言う形で、常識から少し外れた視点を持ち出します。それを実証するためには、データ(情報・事実)を引っ張り出します。それらが、どういう理由で自分の主張を支えてくれるのか、つまり、理由付けを行います。

 

簡単な自己主張の例で考えてみましょう。マジマナは「猫が好き」です。これを今回の主張とします。情報と事実としては、「これまで、猫、犬、鳥、金魚、亀、かたつむり、カマキリ・・・などさまざまな動物を飼ってきたことがある」ことが挙げられます。そして、理由付けです。「その中でも最も飼いやすく、親しみをもてる生き物が猫であった」としておきましょう。

 

こうすれば、「猫が好き」という主張に対し、「ただ何となくそう思う」のではなく、さまざまな比較対象があった上で、経験値として「猫が好き」の理由につながっていきます。

 

この三点(主張情報・事実理由付け)をきちんと押さえて読む練習が評論文の勉強です。これらの三点を押さえて書くというのが小論文となります。

 



論理は「主張」「根拠」「理由付け」が基本! 使い方は「帰納」と「演繹」

上記の説明から「主張」「根拠」「理由付け」が基本にあることは分かっていただけたと思います。相手に説明する、納得してもらうためには、主張に紐付いた内容が必要です。

 

では、これら三つを用いて説明する方法にはどういうものがあるのかを確認していきたいと思います。

帰納(きのう)」:個個の特殊な事柄から一般的な原理や法則を導き出すこと(方法)。

演繹(えんえき)」:一般的な原理から、論理の手続きを踏んで個個の事実や命題を推論すること(考え方)。

 

この二つの方法があります。大学受験で読み解く評論文の80%くらいは「帰納法」で書かれています。しかし、英語の説明文では逆に「演繹法」で書かれることがほとんどです。これは文化の違い、文法の仕組みの違いが大きく影響しています。

 

さて、「帰納法」と「演繹法」の説明をしましょう。

 

「帰納法」は、具体例を挙げていき、そこから導かれる共通性を示す方法です。最もよく使われる例としては、「祖父は死んだ」「伊藤博文は死んだ」「ナポレオンは死んだ」→「人は死ぬ」といった感じです。具体例はなるべく幅広くカバーしておくといいでしょう。

 

「演繹法」は帰納法の逆パターンです。「人は死ぬ」→「祖父は死んだ」「伊藤博文は死んだ」「ナポレオンは死んだ」→成り立つといった形です。

 




皆さんはどちらの方がいいですか?帰納法は説明があってからまとめられます。演繹法は始めに言いたいことを言ってから説明してくれます。

 

こういう風に書かれたら、始めに言いたいこと言ってくれた方が助かりますよね。この人はこう言いたいのか、それからこういう説明だなって分かりやすいからです。

 

実は「帰納法」は熟練の書き手が書かないと話が終わらなかったり、つながらなかったりしやすいのです。日本語の特性上、帰納法の方が書き方は向いているのですが、難しいので、慣れないうちは演繹法で書きましょう。

 

つまり、皆さんが小論文を書くときは「演繹法」で書きましょう。書き方は単純です。

 

「言いたいこと(主張)」     (序論)

「具体例・根拠(情報・理由付け)」(本論)

「まとめ」           (結論)

 

このような形で書くことができます。論述の基本である三段論法(序論・本論・結論)とも当てはめやすいので、この形式で書きましょう。

 

なお、最近の入試の傾向では、最初に「要約」が必要になることがありますので、注意しておいてください。ここでは、最もシンプルなタイプの基本だと思っておいてください。

 

さて、第一回は論理の基本を押さえてみました。評論文にも通じる内容なので、覚えておいて損はないでしょう。ただし、書き方に関しては異なりますので、その部分だけは注意してくださいね。

 

では、最後までお付き合いありがとうございました。次回もまたお会いしましょう。

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