2020年版小論文テーマの傾向とは?(国公立大一般入試編)
2020年版小論文テーマの傾向とは?(国公立大一般入試編)
小論文の勉強では、基本的な方法を学ぶことが第一歩ですが、入試でどういうものが出るのかを知ることも非常に大切です。相手を知ることで勉強する道筋が見えてきます。入試で出題されたものを分析して、対策を考えてみましょう!
使用するのは、ベネッセの小論文テーマ一覧を使います。
2020年度 入試 国公立大・私立大一般入試 小論文出題テーマ一覧
https://manabi.benesse.ne.jp/nyushi/2021/syou_sou/ippan/
目次
2020年度 小論文の出題される形式予想
サイトのPDFファイルを見てもらうと分かりますが、大学がたくさんあり、学部によっても異なるため、非常に多くのデータがあります。これを眺めるだけで何かに気づくのは難しいので、数字を拾ってみましょう。
出題形式のところに着眼します。
「課」は、短文のお題が与えられる「テーマ型」です。「○○についてあなたの考えを述べよ」というようなシンプルな形です。字数や条件が足されることがあります。
「文」は、文章題が課されるタイプです。文章を読んだ上で、設問に答える形式となっています。その際、本文の要約が問われます。この形式の場合は、本文の読解が正確にできないと書くことができませんので、現代文の読解演習も行っておく必要があります。
「統」や「写」は、統計や写真などの資料を見て答える小論文です。昨年度のデータではあまり見られませんでしたので、「文」と同じものとしてカウントしましたが、2019年度は多く見られたので、独立して項目を立てておこうと思います。
※青は増加、赤は変化なし、黒が減少。
国公立 一般
分野 課 文 統・写
人文 5 49 6・3
学際 1 24 11
社会 2 80 23・2
教育 13 44 22・5
生科・芸術2 7 4・1
理学 4 7 8・1
農水 0 15 7・1
工学 5 11 5・0
医歯薬 6 87 30・1
文系 23 204 66・11 (304)
割合 (7.5%) (67.1%) (25.3%)
理系 15 120 50・3 (188)
割合 (7.9%) (63.8%) (28.1%)
合計 38 324 116・14 (492)
割合 (7.7%) (65.8%) (26.4%)
全体数が減っているので、数の上では去年と比較できません。しかし、全体数が減っているにもかかわらず、増えている項目は着目すべき点です。「人文」「学際」「理学」「農水」「医歯薬」において、統計・写真の数が増えています。全体数も、文系、理系ともに「統計・写真」の割合が増えています。
昨年の統計・写真は、文系で24.4%、理系で21.9%でした。文系の方は微増ですが理系の方は6.2ポイント上昇しました。これは誤差の範囲とは言い切れないものです。
文章型が中心を占めていますが、統計・写真が着実に増えてきています。一方、テーマ型は文系理系とも8%を下回っていますので、今後あまり出題されなくなることが予想されます。
推薦入試と比べると、「統計・写真」の割合が高いです。受験までに時間がある分、しっかりと文章で表現できるようになることと、切り口を見つけて論じる力を試していこうとしていると思われます。
まとめ
出題のメインは文章型。
写真・統計型が増加傾向にある。
2021年度の小論文の英語での出題可能性は?
小論文入試では、推薦と同じく一般入試でも英語での出題の可能性があります。英語での出題と聞くと、外国語学部系統をイメージされがちですが、そうでない学部もそれなりに出題されるのです。
さて、一般試験ではどれくらい出題されるのかを確かめてみましょう。
分野 日 英 その他
人文 54 12 0
学際 32 4 0
社会 94 13 0
教育 83 1 0
生科・芸術14 0 0
理学 20 0 0
農水 17 6 0
工学 20 0 0
医歯薬 101 21 0
文系 277 30 0 (307)
割合 (90.2%) (9.7%) (0%)
理系 160 27 0 (187)
割合 (85.5%)(14.4%) (0%)
未作業
合計 437 57 0 (612)
割合 (88.4%) (11.5%) (0%)
全体数が減っているので、割合に着目して見ていきましょう。全体的に約9割が日本語で出題されています。昨年と同じような割合で、1ポイントくらいしか動いていません。英語の割合が増えるかと思いましたが、微増程度でした。
まだまだ日本語での受験対策で大丈夫そうですね。
まとめ
日本語での出題がメイン
2021年度対策は「文章系」→「統計・写真系」の順!
国公立大学一般入試の小論文では、文章系がメジャーなので、文章題を読む練習と要約、そして書く練習をしておきましょう。この一連の流れをしっかりと押さえる必要があるでしょう。これは、近年の傾向を捉えたオーソドックスな練習方法と言えるでしょう。
一方、「統計・写真系」も増えてきています。これは昨年度と同様の傾向です。小論文の基本ができるようになってきたら、統計を見てデータを正確に読み取ったり、写真を見て論じる切り口を考えたりしておきましょう。文章系の出題だったけれど、統計・写真系に切り替わる可能性は十分にありますので、対策しておいて損はないでしょう。
対策は大学・学部ごとに行うこと!
テーマ一覧を眺めていると、大学や学部ごとにテーマがバラバラであることが分かります。これは推薦入試の時と同じです。学部ごとに特色のあるテーマが多いので、受験校の過去問を見て、関連するテーマについて書いておく必要があるでしょう。
中には大学のある地域に限定したテーマも見受けられます。地元の大学を受ける場合は問題ないかもしれませんが、遠方の大学を志望している場合は、地域のことを調べておくと良いかもしれません。
受験校のテーマを調べて書く練習が出来れば、同系統の大学の問題を解いていくと良いでしょう。特に写真や統計問題は実際の過去問に取り組むことになります。まだまだ市販の問題集では練習できません。
過去問では少しレベルが高いとなると、実際に新聞やネットニュースを見て、その画像から読み取れることを挙げてみる練習をしてみましょう。身近なものを題材にすればいくらでも練習が出来ます。
さいごに
スクールスタディアムでは、2018年度の入試過去問から分析を開始しました。今年で三年目です。
小論文入試は、テーマ型から文章型へと移行していっています。今なお、テーマ型の指導をしている場合がありますが、もはや旧式です。文章の読解を伴う練習をしておいた方がよいといえるでしょう。
さらに、新しい傾向として、統計や写真から論じるタイプです。このタイプはまだまだ練習できる参考書などが少ないといえるでしょう。自身で学習課題を探し出して練習しないといけないため、少しハードルが高いと言えます。
受験する大学の過去問を見て、一体どのタイプなのか知りましょう。まずはその対策です。それが出来れば、統計や写真の問題をやって書けるように練習しておくと良いでしょう。