我が子の字が汚い・・・と思うあなたへ
我が子の字が汚い・・・と思うあなたへ
先日、資料の整理をしていたら、昔のプリントが出てきて、その中に夏季講習のアンケート結果がありました。
当時の生徒たちがコメントを書いてくれていて、懐かしい気持ちになりつつも、あることに気づきました。
あれ?当時「字が雑!」と指導していた生徒の字が綺麗に見える・・・と。
字が汚いというレベルにも差があるかもしれない・・・ということで、今回は「字が汚い」というテーマでお話しします。
目次
字が汚いことに関する認識
「字が汚い」ことに対する認識はどのようなものでしょうか?
いくつかサイトを調べてみましたが、なかなか一般の認識は厳しいものがあるようです。見かけたものを取り上げてみます。
字が汚い人のイメージ
・いいかげん
・頼りない
・おおざっぱ
・せっかち
・面倒くさがり
・周りを気にしない
・姿勢が悪い
一方、字がキレイな人のイメージは・・・
字がキレイな人のイメージ
・きちんとしている
・頼れる
・知的
・上品
・清楚
・計画的
・落ち着いている
・几帳面
・様々なことにしっかりした技術を持っている
まさに対極ですね。ここにあるもの全てが同時に思われるわけではないと思いますが、字が汚い人に対するイメージは悪いことがわかります。
では、字が汚いことのデメリットとしてはどのようなことが挙げられているでしょうか?
①これなんて書いているの?と聞かれる
②自分で書いたことが読めなくて困る/メモが役に立たなくなる
③華やかな場所で肩身の狭い思いをする
④気持ちがこもっていないと思われる
⑤やりなおしを命じられる
①は字の汚い人がよく言われている場面を見かけます。頑張って読もうとしても読めないと聞くしかないですよね。
②は知り合いの字の汚い先生がよくやっています。会議でのメモが読めなくて、「なんて書いたっけなー?」とよく言っています。その後決まって、「このとき何て言ってました?」って確認されます。
③は手書きで書く場面が減ったことによって生じるみたいです。結婚式などの芳名帳に書くときが手書きというわけですね。
④は確かに・・・と思ってしまいます。普段から字が汚いと認識している人が頑張って丁寧に書いたなと思えたら感じませんが、そうでない人からのメモだと、「何だか雑に扱われているな」と感じることはあります。
⑤は、研修のレポートでよく見かけました。手書きでコメントシートみたいなのを書いて、相手に渡すものだった場合、汚い字の人は、「相手のことを考えて書きましょう」と言われて書き直しさせられてましたね・・・
ということで、我が子との字が汚いと思うあなたは今のうちから手を打っておいた方がよいでしょう。
しかし、「字が汚い人は天才」という話もあるんです。
「天才は字が汚い」は本当?
東京大学に通う学生のうち、字が汚い人が結構いるという話があります。東進の講師で有名な林修先生も東大には字が汚い天才がいると仰っていました。
確かに、「字が汚い=学力が低い」ではないので、字が汚くても天才の人はいるでしょう。その人たちは、思考のスピードに手の動きがついてきていないからと言われています。
頭が働いていて、字が追いつかないのであれば汚くても仕方がないのかもしれません。
学校に通う間は、先生や友達に汚いと言われる程度で、頭の働きが良ければ評価は良いでしょう。しかし、社会に出て生活していく上では、字が汚いとデメリットは大きいと言えます。
さて、ここまでは汚かったとしても天才である場合の話でした。あなたのお子さんは、天才タイプでしょうか?そうだとしたら、そのまま頭を使う世界に行くと支障はないかもしれません。
ところが、そうでない、今後つまずく可能性が高い字の汚さが存在するのです・・・
次からはその内容を見ていきましょう。
学力的につまずく可能性が高い字の汚さとは?
ここからは、小学校の時から学力的についていけなくなって、高校生になって苦労したという卒業生K君と字が汚くて苦労したという卒業生N君の2人に了解を得て、字を見ていきたいと思います。
彼らが高校生の時、しっかりと丁寧に写してねという課題で写した字を用います。
まず「ひらがな」を見てみましょう。
K君くら
N君くら
これは「くら」という字です。これを見比べるとK君の方が字はしっかりしているように見えますね。K君いわく小学校3年くらいまでは問題なかったそうです。小学校4年生ころから、先生が何を言っているのか分からなくなったと言っていました。
N君は、字は自分が読めればいいと小学生の頃から思っていたようです。きれいに写す習慣が全くなかったので、ひらがなから形が崩れかかっています。
ところが、「漢字」になると、二人の様子が変わってきます。
K君「橋」
N君「橋」
K君は真剣に丁寧に写してこの状態です。部品は合っていますが、配置がおかしいです。特に漢字の右側の構造が崩れています。右上はバランスが、右下は「回」と同じような形になっています。
N君もバランスがかなり悪いです。しかし、ある程度部品の区別はつきます。枠線をはみ出しているところからも、「雑さ」が目立ちます。N君はどうしてもゆっくり書くことが出来ず、ちゃちゃっと書いてしまい、はみ出してしまうことが多いようです。
さて、N君は他の字も同じような漢字で、漢字としての認識に困ることはないので、ここからはK君の字を見ていきましょう。
K君「誕生」
さて、この漢字は何か分かりますか?これは「誕生」です。
「誕」の字は、真ん中の部品ははっきり読めますが、両サイドが厳しいですね。「言」はよく見ると間違っています。K君は横線と縦線の数を数えないと書けないと言っていました。曲線があるとそれを中心に見えるそうですが、「言」のような縦と横だけで出来た字は認識がしづらいそうです。
「生」の字も縦と横の部分の成立がかなり厳しい状況ですね。
K君「意識」
さて、これは読めますか?今にも消え入りそうですが「意識」と書いてあります。
「意」の字はゴチャっとして見えないと言っていました。「識」は右側がどういう構造なのか分からず、書き取れないそうです。
以上、K君とN君の字を見てきました。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、K君は識字障害の疑いがありました。字を書くのを嫌って書かなかったこともあり、小中では問題視されていませんでしたが、高校に来て書いてみると、このような状態で、「字を認識する」ということに大きな壁を感じていました。
一言で「字が汚い」とまとめてしまえば、それまでですが、識字障害を抱えている場合、「字を写す」「字を認識する」ということが難しく、そのためうまく書けていないということがあります。
お子さんの字を見て、「汚い」というのが、「面倒だ」という気持ちが強く、ちゃちゃっと書いているのであれば、字の練習をすればある程度よくなるかもしれません。
しかし、識字障害により字が適切に書けないのであれば、練習するだけでは解決できない可能性があります。
近年では高校生になってから気づく例も増えてきていますが、その時点だと進級や卒業、就職の時に人より時間がかかることがあります。なるべく早い内に気づいてあげることが大切だと言えるでしょう。
意識して書く習慣を身につけよう!
K君は字の認識が出来ないことを高校になってから指摘されて気づきました。自分は頭が悪いと思っていたようです。
高校生からですが、iPadを使って、一字ずつ大きく表示したり、書き順のアプリを使ったり、一画ずつ認識して書く練習をしました。人一倍時間はかかりましたが、ある程度の字を書くようにはなりました。
とはいえ、ぱっと見て字を認識するのは苦手です。ただし、練習をすることで「手が字を覚えている」と言うようになりました。幼い頃から、こうやってしっかり練習できたらもっと書けたかもしれないと本人は今も思うようです。
意識してゆっくりと書く練習をすれば、少しは改善できる。
これは彼の言葉です。
雑で汚い人も、識字が難しくて汚い人も、意識してゆっくり書く習慣を持ちましょう。最初は時間がかかっても、何度も書いて、手が覚えてくれれば、速く書いてもキレイに書けます。
字が雑だったN君はゆっくり書いてキレイな字を書くのをしなかったために、速く書くと余計に汚くなっていました。高校生になった頃には、キレイに書こうと意識しても書けなくなっていました。
あなたのお子さんの字が汚いと感じたら、保護者の方も一緒になってゆっくりと字を書く練習をすると、お子さんも練習しやすいかもしれませんね。
まとめ
「字が汚い」というのは、世間から受けるイメージが基本的によくありません。「雑だ」「頼りにならない」など印象が悪い傾向にあります。
「字が汚い」には「①雑に書いている場合」と「②識字に問題がある場合」があります。①の場合は、ゆっくりと意識してキレイな字を書けるように練習しましょう。そうしないとキレイに書こうとしても書けなくなります。②の場合は、学校や専門医に相談しましょう。
今回のK君の例は「疑い」の状況です。人によって程度の差があることはご了承ください。
参考
字が汚いのはなぜ?字が綺麗な人の特徴や印象と書き方のコツ
https://www.gakubun.net/pc/contents/shop/LP/static_3/pen_sub/messy.html
実は「字が汚い人」ほど頭がいいってホント?
https://ddnavi.com/news/318047/a/
「字が汚い」と悩んでいる人必見! 綺麗な字を書くコツを紹介します
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