大学受験 古文の勉強法2 着実に積み重ねる

大学受験 古文の勉強法2 着実に積み重ねる

 

majime
マジマナ

前回は私のクリア方法をご紹介しました。高校1年生から取り組んでいればという方法だったので、受験期になってからでは間に合わない方法でした。

 

 

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マジマナ

今回は月並みですが、3年生から勉強に取り組んだ場合を想定して、攻略法をお話しします。

 

 

 

最短ルートを走る

古文は言語の学問です。言語の学問は第一に語彙力がないと話になりません。文法をいくら知っていても、時代背景をいくら知っていたとしても、語彙力がなければ話になりません。語彙力「だけ」でも駄目ですが、古文を読むための基礎力として重要なポイントが語彙力です

 

ということで、まずは語彙力をつける必要があります。単語力の話になると、「どれくらいの数を覚えればいいのですか?」とよく聞かれます。人によって表現が異なりますが、私は基本的に「500~600語」必要だと思っています

 

基本語300、450語という単語帳も見かけます。こういう類いの単語帳を見ると、数が少ないので、ラッキーと思うかもしれませんが、「基本語」というのが少なく見えるトリックです。

 

古文単語は元が同じで派生していった単語がいくつかあります。「基本語」を謳う単語帳は、「基本」の単語をあげて、そこから派生させて複数の単語の意味を押さえていきます。結局その数を合わせれば600語クラスになるので、表面的な語数にだまされないことが大切です。

 

国語が苦手な人、勉強を始めたところで覚えることになれていない場合は、古語の意味をどんどん覚えていった方がよいでしょう。暗記力を鍛える意味もあります。国語が得意な人、暗記に慣れている人は、基本語から派生させて覚えていくと良いでしょう。記憶の繋がりを利用して、しっかり定着させます

 

語彙力を付けることと並行して、文法の学習も進めます。学校の授業で理解出来ているところとそうでないところがあると思います。覚えているものと覚えていないものもあるでしょう。そのようなでこぼこした状態で入試に挑むと苦戦することになります。

 

文法は次の二点が出来るようにします。

 

「識別」「敬語」

 

古文の文法はこの二つに集約されます。「山場は助動詞でしょう?」「活用表に苦戦しました!」という人が多いです。そこの印象ばかりが勝ってしまって「識別」までたどり着いていない人が多いです。「識別」が出来なければ、点数には繋がらないので、古文は難しいと思ってしまいます。

 

「識別」というのは、傍線部に引かれている文法事項の説明が何かを判断するというものです。センター試験なら1問選択で、国公立の文系なら記述で1問くらい登場します。たった1問であれば、それほど重要ではないと思ってしまいますが、読解をする上でも必要な力になりますので、きちんと習得しておく必要があります。

 

「識別」をするためには、文法の知識が必要となります。多くは複数の意味を持つものや複数の解釈があるようにみえるところです。もちろん、2つの解釈のどちらとも言える場合は問題になりませんが、文脈上確定できるところが問題となります。

 

例えば、助動詞の「り」です。「完了」と「存続」の意味を持っていますので、この使い分けが聞かれやすいのです。また、和歌物語で「○○が詠める」と書かれていて、後ろに和歌が続く場合「詠める(歌)」と省略されていて、連体形の「り」だという識別が出来ないといけません。

 

識別では一文字がくせ者になります。「る・り」「ぬ」「し」「に」あたりは有名なので、どういうパターンがあるのかをしっかりと押さえておきましょう。

 

「敬語」に関しては、識別から独立していることが多いです。敬語だけの知識を聞かれることが多いです。敬語のルールはそれほど数も多くなく、分かりやすいです。ただし、特定の単語が結構ありますので、それらを覚えるのに苦戦するという感じです。

 

そして、古文単語の敬語に苦戦する人の多くは現代語の敬語に関しても弱い傾向にありますので、ご注意下さい。

 

さて、「単語」「文法」を同時並行で押さえることが出来たら、今度は「読解」・・・と行きたいところですが、最短ルートはそっちではありません。寄り道に見えて、近道になる内容を押さえておく必要があります。

 



真の近道は「背景知識」

古典の読解では「背景知識」が必要です。「古典常識」と言われることもあります。なぜ「背景知識」が必要になるのかを知っておく必要があるでしょう。

 

例えば、『徒然草』に「猫又」という話があります。

 

 「奥山に、猫ねこまたといふものありて、人を食くらふなる」と人の言ひけるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上へあがりて、猫またに成りて、人とる事はあなるものを」と言ふ者ありけるを、何阿弥陀仏なにあみだぶつとかや、連歌しける法師の、行願寺ぎやうぐわんじの辺へんにありけるが聞きて、独り歩あるかん身は心すべきことにこそと思ひける比しも、或所にて夜更よふくるまで連歌して、たゞ独り帰りけるに、小川こがはの端はたにて、音に聞きし猫また、あやまたず、足許へふと寄り来て、やがてかきつくまゝに、頚くびのほどを食はんとす。肝心きもこころも失うせて、防かんとするに力もなく、足も立たず、小川へ転ころび入いりて、「助けよや、猫またよやよや」と叫べば、家々より、松どもともして走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。「こは如何に」とて、川の中より抱いだき起おこしたれば、連歌の賭物取りて、扇あふぎ・小箱など懐ふところに持ちたりけるも、水に入いりぬ。希有けうにして助かりたるさまにて、這はふ這ふ家に入いりにけり。

 

飼ひける犬の、暗くらけれど、主ぬしを知しりて、飛び付きたりけるとぞ。

 

この話では、猫又という妖怪の話を耳にした連歌師が、夜更けに帰る途中、ビクビクしていたら、何か分からない生き物が飛びついてきて、ビビって川に落っこちたという話です。這うように家に帰り着いて、後に、実は飼い犬が、ご主人が帰ってきたのを知って飛びついただけという話です。

 

さて、この話で「夜更け」とありますが、現代人の感覚で言えば、夜道を帰っていて、飼い犬が飛びついてきたら分かるような気がしませんか?田舎道で真っ暗なところがあるとはいえ、見えそうなものです。

 

ここで「背景知識」を考えてみます。今と違って、当時は道路が舗装されていません。そして、街灯もありません。夜道は月明かりを頼りに歩くわけです。現代でも街灯が全くない道で月明かりしかない時、結構暗いですよね。ただし、この話は月明かりが明るいとは分からないんですよね。書いていない。だけど、飛びかかってきた生き物が判別できないということは、雨は降っていないけど、あまり月は明るくなかったのかな?ということが分かります。もちろん、飼い犬だと気づかなかったのは、「猫又」という妖怪の話を聞いて、ビビっている心があるからですが、場面情景を思い描くことができることで話の理解度合いが変わってきます。

 

また、敬語問題でも、当時の貴族のランクをある程度知っていると役に立ちます。天皇に次ぐ摂関家として有名な「藤原氏」に対して、正しく敬語を使わない人なんていないわけです。「帝」がいないのに、最高敬語が使われていた場合、「あ、藤原氏がいるな」と気づくことができます。

 

問題を解く上で役立つ背景知識ですが、あと一つ、大切な効果があります。

 

それは、「物語を覚えやすい」ということです。古文の文章は名作ほど、後に手が加えられることが多いです。そのため、話の筋が似ているというものがたくさんあるのです。話をたくさん覚えているということが、そのままアドバンテージになります。

 




 

いよいよ問題演習

最後は問題演習です。これは数をこなすことをおすすめします。知識問題(単語・文法)に関しては、完全に取れるようにしましょう。何かしら失点する場合は、覚え方が甘いと考えられます。

 

問題は内容読解や現代語訳の問題です。これは問題演習で答え方を練習します。内容読解問題は、物語文の読解と近いので、小説の問題と近いと言えるでしょう。現代語訳の問題が苦手な人は、「識別」をうまく活用してみて下さい。単語単位に分解すれば、「直訳」はできると思います。これである程度得点できます。あとは文脈上必要な言葉を補って訳すことができれば、完璧になります。

 

 

まとめ

さて、短期決戦、積み重ねによる勉強法について振り返ってみましょう。

 

「単語」「文法」を同時並行で押さえていく。

「背景知識」を習得する。

「読解演習」を行う。

 

この手順です。

 

大学受験における古文の学習は意外とシンプルです。文系の人だけでなく、理系の人でも満点者がよくいるのは、このためです。正攻法を知ったら、意外とやることは多くありません。

 

初期の段階で終わらせておくと、あとで余裕が出来ますので、是非とも挑戦してみて下さい。

 

 

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