漢文の参考書メニュー ―日常編―
漢文の参考書メニュー ―日常編―
先生、学校の授業だけじゃなくて、日常から少しずつ勉強するにはどうしたらいいですか?
良い心がけだね。日常の勉強方法としては、「漢文を読みこなしたい!上達の方法」でも紹介したテキストを使うことになりますね。
『漢文道場』ですね。
それもあるけれど、日常の勉強で言うのならば、『基礎からのジャンプアップノート 漢文句法・演習ドリル 改訂版』もおすすめだね。
二冊も出来るかなぁ。
『ジャンプアップノート』の方は一回分がかなりスリム化されているので、すぐに終わりますよ。漢文道場は少し時間が掛かるかなと思います。
まあ、でも、日常的にやっていくって考えたら、ある程度あった方がいいですね。
そうだね。では、今回は日常での使い方を紹介しましょう。
漢文の参考書メニュー 日常演習編
漢文の学習を日常的に行っていこうと思ったときに使える参考書は、先ほどあげた二冊です。
『漢文道場』(Z会出版 1993年 944円)
『基礎からのジャンプアップノート 漢文句法・演習ドリル 改訂版』(旺文社 832円)(以下、「ジャンプアップノート」)
『漢文道場』の使い方については、以前に書いていますのでご覧ください。
「『漢文道場』を上手に使うためには?」←クリック
さて、『漢文道場』は優秀な問題集なのですが、これでは少し難しいという人がいると思います。ある程度の学力があれば、こなせなくはありませんが、最近では難しく感じる人が増えている印象があります。
問題集もその傾向を受けてか、簡易化しているので、問題集を探せばあります。その一つとして、『ジャンプアップノート』を紹介します。この問題集は、句形を中心に扱っています。必要最低限の知識に集約されていて、問題数もかなり限定されていますので、1ページがサクッと終わります。テンポ良く解いていけるので、やった感がすごくする良いテキストです。
もちろん、それでいて何も身につかないのでは困りますが、必要最低限の句形は押さえることができます。そして、時折、文章題で句形の知識を確認できます。『漢文道場』に比べると文章量が少ないですが、日常の勉強においては充分でしょう。
受験勉強として見ると少し物足りない部分がありますが、漢文がとても苦手だという人や、1,2年生の学校の勉強に+αしたいという人には適しています。このテキストはさっくりと終わりますので、できればこの後に『漢文道場』に取り組みたいですね。
テキストの構成は非常に分かりやすいです。説明が右ページに載っていて、その下に基本問題がついています。そのまま知識を当てはめれば解ける問題になっています。左のページにはそれを実際に使う問題が付いています。基本的なことが理解出来ていれば、解けるようになっていますので、取り組んでいくといいでしょう。
私が漢文の授業する際には、このテキストを参照します。例文が分かりやすいからです。さらに、講習などで漢文の句形を扱う際には、指定テキストにしています。自力でも解けますが、分からなくてもすぐに解説できるので、便利です。
分かりやすいテキストがいいなあ。これをまずはやって、受験勉強に進んでも良いんですね。
漢文の参考書は薄いのが力作!?
漢文の参考書を本棚から取り出して、この記事を書こうとしていました。その時、ふと、「最近本屋さんで見ないな」と思ったのです。そこで検索をかけてみると、増刷未定となっていました。恐らく今後増刷可能性はないでしょう。出版社のHPを見ても、ラインナップから消えていましたからね。
漢文の勉強方法がわからなかった当時高校生だった私に、問題集を教えてくださった先生がいました。その先生から勧められたのが、次の2冊でした。
『1日2題30日完成 漢文[徹底演習コース]』(日栄社)
『国立大の漢文(高校上級用)』(日栄社)
共に日栄社から出ていた問題集です。ずいぶん昔からある問題集だったので、作りが古いです。白黒のシンプルな作りで、値段も安かったです。しかし、中身はそれなりの難易度でした。
私は国公立の文学部を狙っていたので、二次試験にオール記述の漢文がありました。国語が難しいと有名な大学だったので、これくらいの漢文はクリアできるようにとのことでした。
この日栄社なのですが、古文でもいい問題集をたくさん出していました。高校初級、中級、上級と三段階の問題集で、単元別にありました。なので、「古文単語」や「古文文章題」などに分かれていました。数百円で買えるので、弱点補強や力を伸ばすのに最適でした。
ただ、昨今の参考書市場には合っていません。今や参考書は問題の質もさることながら、詳しい解説が当たり前になっています。解説のない参考書や問題集は見向きもされなくなっています。日栄社の問題集は最低限の解説でした。それゆえ、解釈も短く鋭く載っていました。私はあれくらいでいいと思っていました。わからなければ先生に聞きに行けばいいだけですからね。でも、最近ではそれを良しとしない風潮になっています。少し残念ですが、レベルの簡易化が起こっていますので仕方ないことですね。
他にも薄くはないですが、それなりによかった問題集があります。
『基礎漢文問題精講』(旺文社)
この旺文社の『問題精講シリーズ』は、国語のみならず他の教科でも有名です。特に英語が有名かと思います。私も初めて知ったのは英語でした。基礎ではなく、「標準」です。結構難易度が高く、入試上級者向けの問題集でした。それが難しすぎるためか、簡単にしたものが発売されました。それが「基礎」シリーズです。
基礎シリーズは、私が受験生の時には使用しませんでした。標準からスタートしていましたので、取り組む必要はありませんでした。しかし、塾で教えていた時、高校1、2年生や受験生でも基礎レベルができていない生徒が取り組める参考書を探していた時に見つけて、使うようになりました。塾の授業で使うというよりは、日常の勉強用として、ペースを決めて取り組んで行ってもらっていました。
その時にも生徒からわかりやすく、やりやすいと定評のあったシリーズです。良い問題集だっただけに、増刷されていないのは残念です。
問題集も変わっていくのですね。昔から定評のあると言われていても、入試の制度や本のレイアウトが多様化していくとついていけないのですね。これからは紙ではなく電子媒体の問題集も出てきそうですよね。
さいごに
今回は日常の漢文の勉強に使える参考書について書きました。私が高校生だった頃とは随分問題集が変わってしまっていました。学校現場で教えていると教科書が中心となりますので、教科書に+αできる問題集を設定しています。
一方、独学や塾で自習用に指定しようと思うと、実力養成まで考えないといけないですよね。そういう意味では『漢文道場』はバランスのいい問題集と言えると思います。少し取り組みにくいことがあると思いますが、わからないところは先生に聞いてクリアしていくといいでしょう。
最近では、漢文を扱わない学校が増えてきています。受験に必要ないからとか、生徒にそこまでの学力がないからと避けがちです。確かに今の世の中では人気がないのかもしれませんが、学力に関係なく、漢文だけはできるという生徒がいることもまた事実です。
「学力が低い=漢文」ができないという構造は間違っているでしょう。小学校中学校で習う漢字でも十分に読める可能性が高いので、やってみるべきでしょう。自力では不可能かもしれませんが、一緒に読めば読める可能性は十分にあります。
日本人は昔から、漢文を読んできました。そして、文化や思想を取り入れて現代に至ります。つまり、日本人のDNAに漢文は組み込まれています。それを活性化させずに生活することもできますが、より豊かな文化的生活をするためには、活性化させた方がいいでしょう。
みなさんも漢文を恐れずに取り組んでみてください。
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