間違っている?古いかもしれない小論文指導!
間違っている?古いかもしれない小論文指導!
現実世界でも、オンラインでも小論文指導をしていると、間違った方法で書いている人が結構います。
その人たちは口を揃えて、「本を見てやってみたのですが・・・」と言います。
意外と参考書を見て、間違った方法をとってしまう人が多いかもしません。しかし、問題はそれだけではありませんでした・・・
意外と現場でも悩んでいる
小論文指導をしていると、現場の先生からも相談を受けることがあります。学校の先生は、大学入試を突破して教員免許を取得しているはずですが、ご自身が受験生の時は、一般入試を突破していることが多いです。
教員採用試験で全教科の一般教養が問われますし、専門教養ではまさに大学入試のような問題を解かなければなりません。
指定校推薦やAO入試の人が不利になるのは明らかです。そのため、一般入試を突破した人が多く、小論文指導を受けたことがないという先生が多いのです。
よって、小論文指導を参考書で勉強したり、先輩の先生から聞いた指導を引き継いで行ったりしていることが多いようです。それを絶対視して疑問に思わない人もいますが、思ったよりも生徒が合格しないことで自信を無くす先生もいらっしゃいます。
そのような状況を打破したいと思います。
間違いではないけれど・・・
今も行われている典型的な指導方法があります。
主張
具体例①
具体例②
具体例③
主張
という形です。具体例の数は字数によるかもしれませんが、三つという方が多いですね。これをベースにどのような問題であっても書こうとするのです。ここが問題です。
この形は最初の主張と最後の主張が同じ状況を指しています。一見すると正しいように聞こえるかもしれません。しかし、これではいけない場面が出てきます。
このタイプの書き方は、「お題型小論文」かつ「二者択一」か「クローズクエッション」タイプの方法です。答えが一つしか書けないので、始めと終わりが一致していても構いません。
しかし、「課題文型小論文」の場合、多くは最初に要約を持ってこなければなりません。本文の内容を無視して主張を書いてしまうと、課題文の読み取りが不十分とされてしまいます。
他にも、大学入試ではありませんが、公務員試験や昇進試験の小論文では、「解決策提案型」が存在します。その場合は、最初と最後の主張が全く同じでは困るのです。
古い指導に捕らわれた人
「最初の主張と最後の主張が同じでないといけない。」
この発想を基に指導するようになったのはどういうことなのでしょうか?
ここからは私の私見ですが、教育現場によくある伝統が生んだものではないかと考えています。
教育の現場には、どうしてかは分からないけれど、脈々と受け継がれていることがたくさんあります。それで現場が回るので、考えることがストップしていて、「こうするものだよ」と当たり前のように教えられます。経験が浅い人は、そうなんだと思って真似するのですが、ちょっと気をつけた方がよいことがままあります。
小論文の指導でも、先ほどの伝統的な型を教えれば良いとベテランの先生は伝えています。確かに、一昔前の小論文では、その型で答えられる小論文が多かったため、正解でした。しかし、今ではその型は少数になってきているので、正解とは言えないのです。
ここで、さらにもう一つの伝統が加わります。教員は自分がやってきた指導方法を続けることが多いということです。
この伝統から、自分が受けた小論文指導を継続するのです。それがベテランの先生から指導された内容と同じだと、より自信を持って指導していくことになるのです。
しかし、落ち着いて考えてみてください。ベテランの先生は、若い先生が学生だった頃の先生です。その人の教え方で学んだのであれば、当然、ベテランの先生からの指導内容は同じになりますよね。
こうして脈々と古いタイプの指導が引き継がれてきているのです。
指導方法をアップデートする!
年数が経てば指導方法もアップデートしていかなければなりません。しかし、近年の教育現場は忙しくなっていて、なかなかアップデートしていく余裕がありません。それだから、仕方がない・・・とは言えませんよね。
典型的な指導方法は間違いではないけれど、「基本です」というのは間違っています。
近年の主流は「課題文型小論文」です。そして、「あなたの考えを書きなさい」という風に、テーマだけ与えられる、オープンクエッション型の問題となっています。オープンクエッション型の場合、答えは一つではありませんので、事前に考えたことのないテーマだとすぐには書きづらい傾向にあります。
小論文の出題傾向分析はこちら
「2019年版 小論文のテーマってどんなものがある?(国公立大一般入試編)」
「2019年版 小論文のテーマってどんなものがある?(国公立大推薦編)」
ということで、以前とは異なる形式が基本となってきています。もちろん、さらに進んだタイプもありますが、ここでは、近年の主流でお話をします。
課題文型の場合、最初に課題文の要約を要求されることが多いです。設問に書いていなくとも、内容を踏まえて書く必要があるので、要約が必要となります。
要約の後、筆者の主張を踏まえて自分の主張を書く必要があります。賛成、反対の立場で答えられる場合は、クローズクエッションなので、書きやすいです。しかし、筆者の考えを踏まえながら、「あなたの考え」を書く場合、新たに設定する必要があるのです。
ここまでの流れ
要約
主張(立場を明確にする)
という流れです。
主張を明確にした後は、説明していく必要があります。主張する理由を並べると良いでしょう。字数にもよりますが、800字くらいまでであれば、2つにすることをおすすめします。
この辺も市販の参考書を見ると、3つと昔から言われているのですが、よほど時間を掛けられる場合でないと、理由が3つも思い浮かびません。仮に浮かんだとしても、短い字数で端的に説明するのは難しいので、慣れてくるまでは2つで構成している方が良いでしょう。3つ構成は時間に余裕があり、しっかりと練習できた場合にしましょう。
ここまでの流れ
要約
主張(立場を明確にする)
説明①(具体例を用いて)
説明②(具体例を用いて)
という流れになります。
さて、次で最後です。
結論を書きましょう。ここでよくあるのが、「主張」をもう一度書くという説明です。「主張=結論」といわれると、本当にそのまま書く人が多くいます。それではいけません。
最初の主張と意見が変わってしまうのもよくありません。説明①と②で主張をより具体的に述べることができるようになっているはずです。最初の主張は端的に書いてあったとしても、結論の部分の主張は説明を含めてまとめ直す必要があります。
「主張=結論」という形は気をつけてください。必ず同じ趣旨でありながら、きちんと説明内容を踏まえてまとめるように指導してください。
最終的な流れ
要約
主張(立場を明確にする)
説明①(具体例を用いて)
説明②(具体例を用いて)
結論(説明を含めて主張をまとめなおす)
さいごに
改めて確認しておくと、これまでの指導で多かった方法は、「お題型クローズクエッション」のタイプの書き方でした。しかし、現在の主流は「課題文型オープンクエッション」のタイプとなっています。
そのため、書き方を間違えると趣旨を大きく間違えますので、気をつけましょう。
指導される生徒は間違いかどうか気づきにくいので、指導する先生方が気をつけておくようにしてくださいね。