『宇治拾遺物語』「児のそら寝」
『宇治拾遺物語』「児のそら寝」
高校古文の定番!『宇治拾遺物語』「児のそら寝」を見ていきましょう!
使用時期
この単元は古文を習う導入に使われることが多いです。高校の最初に習うでしょう。中高一貫校なら古典を習い始めに習うことが多いと思われます。
最近では別の単元を取り入れた教科書もありますが、この作品の掲載率はかなり高いです。
文法事項も中学校+αくらいしかやりません。多くは音読練習に使われます。書いてある言葉と読む音が異なるからです。語頭以外の「はひふへほ」を「わいうえお」と読むなどが揚げられます。
それ以外には古典の世界の描かれ方を習うことになるでしょう。
本文
本文読み上げ
今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心よせに聞きけり。さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。
この児、さだめておどろかさむずらむと、待ちゐたるに、僧の、「もの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いま一声呼ばれていらへむと、念じて寝たるほどに、「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は、寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふこと限りなし。
現代語訳
昔、延暦寺に児がいた。僧たちが、宵の所在なさに、「さあ、ぼたもちを作ろう。」と言ったのを、この児は、期待して聞いた。そうかといって、作り上げるのを待って寝ないのも、よくないにちがいないと思って、片隅に寄って、寝ているふりをして、でき上がるのを待ったところ、はやくも作り上げた様子で、(僧たちは)騒ぎ合っている。
この児は、僧達がきっと起こそうとするだろうと(思って)、待ち続けていると、僧が、「もしもし。お目覚めなさいませ。」と言うのを、うれしいとは思うけれども、ただ一度で返事するとしたら、待っていたのかと思うといけないと(思っ)て、もう一声呼ばれて返答しようと、我慢して寝ているうちに、「これ、お起こし申し上げるな。幼い人は、寝込んでしまわれたよ。」と言う声がしたので、ああ、情けないと思って、もう一度起こしてくれよと、思いながら寝て聞くと、むしゃむしゃと、ただひたすら食べに食べる音がしたので、しかたなくて、ずっとあとになって、「はい。」と返事をしてしまったので、僧たちは笑うことが際限ないことだった。
問題
「児のそら寝」の問題を作りました。
知識問題(主に文法)と読解問題を作りました。
文法問題
今回の単元では、用言を習うことが多いと思うので、用言を中心に作成しました。全部を聞いても良かったのですが、それでは量が多くなりますので、ピックアップして作成しました。練習としてお使いください。
01a児のそら寝文法 (PDFファイル)
読解問題
読解問題はいくつもの種類がありますが、聞きやすいところを中心にピックアップしました。答えまでのプロセスが難しい問題は省いていますので、比較的簡単な問題となっています。本文の内容を理解出来たら、トライしてみましょう。
01b児のそら寝読解 (PDFファイル)
スーパーリスニング
スーパーリスニングを開設いたしました!記念すべき第一号です。
スーパーリスニングとは何かについてはこちらの記事をご覧ください。
まずは手元資料をご用意ください。A4サイズで作っています。
今回は始める前に少しだけ注意ポイントを説明します。
記入上の注意が分かりましたら、本題です。頑張って聞き取ってみてください!
どうでしたか?聞き取れましたか?最初は聞き取れなくても、練習していくと聞き取ることができるようになります。聞き取り能力向上目指してくださいね!
リンク集
役立ちそうなサイトを見つけ次第はっていきます。
『宇治拾遺物語』ついての情報を手に入れたい人向け
動画があるので、読むだけでは辛い人向け
このサイトすごいです。原文と現代語訳が見られるので、教科書と違う範囲を扱う授業にも対応できます。
初学者向けの文庫本です。ソフィアシリーズは読んでおくと古文に強くなります。
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