2019年版 小論文のテーマってどんなものがある?(国公立大一般入試編)
2019年版 小論文のテーマってどんなものがある?(国公立大一般入試編)
小論文の勉強では、基本的な方法を学ぶことが第一歩ですが、入試でどういうものが出るのかを知ることも非常に大切です。相手を知ることで勉強する道筋が見えてきます。入試で出題されたものを分析して、対策を考えてみましょう!
使用するのは、ベネッセの小論文テーマ一覧を使います。
2019年度 入試 国公立大・私立大一般入試 小論文出題テーマ一覧
https://manabi.benesse.ne.jp/nyushi/2020/syou_sou/ippan/
目次
2020年度 小論文の出題される形式予想
サイトのPDFファイルを見てもらうと分かりますが、大学がたくさんあり、学部によっても異なるため、非常に多くのデータがあります。これを眺めるだけで何かに気づくのは難しいので、数字を拾ってみましょう。
出題形式のところに着眼します。
「課」は、短文のお題が与えられる「お題型」です。「○○についてあなたの考えを述べよ」というようなシンプルな形です。字数や条件が足されることがあります。
「文」は、文章題が課されるタイプです。文章を読んだ上で、設問に答える形式となっています。その際、本文の要約が問われます。この形式の場合は、本文の読解が正確にできないと書くことができませんので、現代文の読解演習も行っておく必要があります。
「統」や「写」は、統計や写真などの資料を見て答える小論文です。昨年度のデータではあまり見られませんでしたので、「文」と同じものとしてカウントしましたが、2019年度は多く見られたので、独立して項目を立てておこうと思います。
国公立 一般
分野 課 文 統・写
人文 5 56 4・1
学際 1 28 7・3
社会 2 88 31・2
教育 19 67 31・7
生科・芸術1 13 6・2
理学 5 10 11
農水 3 19 5
工学 11 12 5・2
医歯薬 11 103 27・3
文系 27 239 73・13 (352)
割合 (7.7%) (67.9%) (24.4%)
理系 31 157 54・7 (249)
割合 (12.4%) (63.0%) (21.9%)
合計 58 396 127・20 (601)
割合 (9.7%) (65.9%) (24.5%)
課題形式は全体の10%程度で、多くは文章題がセットになっているタイプでした。65%なので、多くの大学で取り入れられている人気の形式と言えるでしょう。一方、統計や写真などから読み取って書く小論文の割合も増えています。昨年度は、計上するほど数が無かったのですが、数が一段と増えており、24.5%です。文系理系ともに統計問題が20%以上出題されているので、データやグラフの読み取りができるようにしておかないといけませんね。
国公立推薦と比べると、課題文の割合が非常に低くなりますが、文章題とのセットの割合は文系ではあまり増えていません。65.1%→67.%。一方理系は非常に増大しました。53.4%→63%。
文系の方は文章題が増えなかった分、統計や写真問題が増えています。11.1%→24.4%。2倍以上に増えています。一方、理系の方は文章題が増えていますので、統計写真問題は減少しています。29.7%→21.9%。
これらのことを踏まえて考えると、文理問わず、文章題の問題が中心と言えるでしょう。推薦入試の際は、文章題が中心でしたが、課題型と統計・写真型が20%ずつありました。一般入試では課題文型が減ったものの、統計・写真問題は増えていませんので、文章題型が増えていると言えるでしょう。推薦入試は新しいタイプの問題を積極的に取り入れているとも考えられますが、試験日が早いので、読解演習が十分に積めていないことを考慮しているのかもしれません。
推薦入試では、小論文の出題数は理系の方が多かったですが、一般では文系の方が多いようです。理系は「医歯薬」に集中していますので、それ以外の理系の出題数は極端に少ない状況です。
文系は「社会」「教育」が推薦の時と同じく多い状況です。それに加え「人文」も多くなっています。国公立大学の一般入試でも、センター試験と組み合わせて、小論文が出題されているところが多いといえるでしょう。
ただし、「後期」で小論文を出題しているところも多いので、前期なのか、後期なのかは調べておくようにしましょう。
まとめ
出題のメインは文章題とセットになったタイプ。
統計や写真の出題も推薦に比べると多い。
文系は幅広く、理系は医歯薬系に集中。
2020年度の小論文の英語での出題可能性は?
小論文入試では、推薦と同じく一般入試でも英語での出題の可能性があります。英語での出題と聞くと、外国語学部系統をイメージされがちですが、そうでない学部もそれなりに出題されるのです。
さて、一般試験ではどれくらい出題されるのかを確かめてみましょう。
分野 日 英 その他
人文 61 13 0
学際 34 4 0
社会 111 14 0
教育 123 1 0
生科・芸術21 1 0
理学 25 1 0
農水 20 7 0
工学 30 2 0
医歯薬 122 22 0
文系 329 32 0 (361)
割合 (91.1%) (8.9%) (0%)
理系 218 33 0 (251)
割合 (86.9%)(13.1%) (0%)
合計 547 65 0 (612)
割合 (89.4%) (10.6%) (0%)
出題言語の割合を出しました。9割近くが日本語です。推薦入試の時は18%が英語でしたが、今回は10.6%ということで、一般入試は英語の割合が低いと言えるでしょう。理系では医歯薬に英語の出題が偏っています。受験校の問題を調べて日本語であれば、そのまま日本語で出題されると考えて良いでしょう。
2020年度対策は「文章題」→「統計・写真系」の順!
国公立大学一般入試の小論文では、文章題が多く、文章題の練習が優先されるでしょう。しかし、今回の数値から統計・写真系統の数が増えていることが分かったので、今後この形式に変更される可能性があるでしょう。そのため、文章題の形式で書けるようにした後は、統計や写真を見て答える問題に慣れておくと良いでしょう。
小論文はまず書けるようになることが大切です。そのため、お題型の問題で練習をして、文章を書けるようにしておくと良いでしょう。次に、文章題問題です。文章題問題は本文の読み取りが必要になります。きちんと本文を読み取り、そして要約する必要があるのです。読解力と要約力が問われます。
要約力はすぐに身につくものではありません。文章を読んだり、何かを理解したりした際に要約する癖を付けておくと出来るようになります。現代文で文章題を解いたとき、英語の長文問題を解いたとき、歴史の授業で一連の流れを習ったとき、色々な場面で、要約することを心がけましょう。
最後に統計・写真問題です。こちらは、書く力も当然必要ですが、資料から読み取る能力が必要です。統計のグラフからどのように変化したのか、いつと比べてどう違うのかなど、読み取る力が必要です。その読み取りの後、変化した原因や要因を考えて論理的に書かなければいけません。
統計・写真問題は、資料の読み取りの力と要因や原因の分析力が必要です。その分析の際には、事前に知っている知識が必要になります。教科書で習ったような知識が必要な場合もあれば、世の中で起きていることを調べておいて知っておくべきことなどが挙げられます。丁寧に取り組んでおかないと、当日、何を書けば良いのか分からずに苦戦することになるでしょう。
対策は大学・学部ごとに行うこと!
テーマ一覧を眺めていると、大学や学部ごとにテーマがバラバラであることが分かります。これは推薦入試の時から同じです。学部ごとに特色のあるテーマが多いので、受験校の過去問を見て、関連するテーマについて書いておく必要があるでしょう。
中には大学のある地域に限定したテーマも見受けられます。地元の大学を受ける場合は問題ないかもしれませんが、遠方の大学を志望している場合は、地域のことを調べておくと良いかもしれません。
受験校のテーマを調べて書く練習が出来れば、同系統の大学の問題を解いていくと良いでしょう。特に写真や統計問題は実際の過去問に取り組むことになります。まだまだ市販の問題集では練習できません。
過去問では少しレベルが高いとなると、実際に新聞やネットニュースを見て、その画像から読み取れることを挙げてみる練習をしてみましょう。身近なものを題材にすればいくらでも練習が出来ます。
2020年度対策は、国公立大学推薦編をご覧ください。
https://school-s.com/whats_essay2019kokusui/
さいごに
一般入試の数を集計してみました。推薦入試よりも、文章題型が多いので、今までの傾向をそのまま引き継いでいたと言えるでしょう。しかし、推薦と同じように、統計写真問題が増加してきているので、今後より多くの大学でそのように舵を切るようになるかもしれません。
基本的な対策を行った上で、統計・写真問題に取り組むようにする必要があります。一般入試はセンター試験も受験しなければなりませんので、早いうちに対策を立てるようにしましょう!