高校に入学して落ちぶれる子の特徴
高校に入学して落ちぶれる子の特徴
前回は高校に入学してから伸びる子の話をしました。今回は逆に落ちぶれてしまう子の話をします。
ある日突然、学校から呼び出されて、進級できないことや卒業できないことを告げられると驚きですよね。
本人は都合の悪いことはあまり話したがらないと思います。
なので、できる限り、様子を観察して変化を捉えておく必要があります。
成績が落ちぶれてしまう傾向を知っておいて、お子さんがそのような状況になっていないかチェックしてみましょう。
勉強の仕方が中学生のまま
これまでにも何度か登場していますが、中学校と高校での勉強方法は変わります。これは脳の発達段階とも関わってきますので、仕方のないことです。中学校までは暗記を中心に勉強していればよかったことが、暗記だけでは通用しなくなってきます。
学習内容の大幅な増加や抽象的な概念の増加などが、中学校までの学習方法では通用しなくなる原因です。もし、中学校の時に、本質の理解を中心とした勉強をされていれば、大きく勉強方法を変える必要はないでしょう。しかし、これまで見てきた生徒の中では、かなりのハイレベルな学校の生徒にその傾向が多く、そこそこの進学校の生徒でさえも、理解をせずに暗記中心に勉強していることが多いです。
そのため、高確率で中学校の学習から切り替えないといけない人が多いはずです。
例えば、単語を暗記するのは、口で唱えたり、紙に書いたりして覚えることが必要でしょう。しかし、英語の長文の内容を丸々暗記しようとしていたら要注意です。そのような勉強をしたところで、定期テストには太刀打ちできないでしょう。
古典文法も勉強方法を確認するよい例になります。
用言の活用表という覚えないといけないものが登場します。動詞、形容詞、形容動詞を合わせて、用言と呼びます。全部で13通りの活用の仕方を覚えます。これに関しては中学校の国文法と変わるところがあるので、頑張って覚えてもらいます。
次の単元で助動詞をやります。この時に、中学校までの勉強方法の子は助動詞の活用表を丸暗記しようとします。助動詞は26ありますので、26の活用表を覚えるのです。
しかし、理解をして学習を進めている場合、これがいかに無駄かということに気づきます。助動詞の活用表を見ると、用言の活用とほとんど同じものがあります。用言でしっかりと覚えていると、新たに覚えなくて良いのです。どれがどの活用かを覚えるとおしまいです。用言になかった、「特殊型」と「無変化型」を新たに覚えればいいのです。そうすると、新規に覚えるのは5つだけになります。
このように勉強は理解を中心に進めていくと、無駄が省けるので、大量の内容にも適応していくことができるのです。もし、高校生になってから覚えることが多すぎて対応できていない場合は、丸暗記の勉強方法から脱出できていない可能性があるので注意してみてあげてください。
過去の栄光にしがみつく
塾で指導していた時のことです。学区内の公立トップ校に通っていた生徒がいました。中学校の成績がオール5に近く、なおかつ実力も兼ね備えていないと合格できない学校です。東大、京大にも二桁を排出するほどの名門校の生徒さんでした。
その子は、高校に進学してからクラスで最下位、学年でも下から10番以内という成績になってしまい塾にやってきました。学習に入る前に状況を確認するのですが、話す内容が全て「中学の時は・・・」という前置きがありました。できない状況は高校の内容なのですが、どうしてもそこには目を向けられず、優秀だった中学の時の話を中心にしてしまっていました。
学校で教えていた時、中堅校の学校でしたが、成績が下位層になってしまった生徒もやはり同じように、中学校の出来ていた時の話を中心にします。現状を変えようとするよりも、現状の苦痛から逃れるために過去の栄光にしがみついてしまうのです。
つまり、過去の栄光の話を中心にしてしまう生徒は、現状の成績が危うい可能性が高いです。今を見るのが辛いから、過去にすがってしまいます。過去のできなかった話を笑いながらできる方がいいのです。
過去ではなく、今の状況を確認して、どうやって改善していけばいいのか、そういう風に考えられるようになれば、自ずと状況は好転していくでしょう。
さいごに
今回は高校に入ってから成績が落ちぶれる子の特徴について書きました。他にも、やる気が抜けてしまい勉強していないパターンもありますが、それはみていてすぐにわかるでしょう。問題はすぐには見抜けないパターンです。頑張っているように見えるけれどできていない状況が一番危険なのです。
今回例に挙げたパターンの生徒はものすごく真面目に頑張る子でした。頑張っているんだけれど成績がよくないのです。「仕方ないよね。」「勉強はできないけどいい子だから」といって放置され気味ですが、原因は必ずあります。
問題を起こさない、授業を真面目に受けている、欠点ではないが成績はよくない、こういう状況の子は、学校の先生の視線からこぼれやすいです。成績のいい子、素行に問題のある子に目が行きやすいのです。しかし、見逃しているだけであって、卒業が近づくにつれて問題が露見してきます。最後の最後に焦ってしまわないようにしていきましょうね。