小論文の書き方講座⑩ ー好きなこととアイデアー




 

小論文の書き方講座⑩ ―好きなこととアイデアー

 

さて、小論文の書き方講座のラストにたどり着きました。基本的な書く方法と具体例の出し方をお伝えしてきました。今回も具体例の引き出しを作る方法です。最終講、最後まで頑張りましょう!

 

小論文の内容と好きなこと

皆さんは、小論文を書こうと思ったとき、書き方が分からなかったり、テーマに関連して書くことができなかったりすることがあると思います。それで検索する人が多いと思いますので、心当たりのある人は多いことでしょう。

 

しかし、もし、自分の好きなことで小論文が書けるとしたらどう思いますか?好きなことならいっぱい書ける!という人も多いのではないでしょうか?

 

そんなに都合の良い小論文なんてあるのか?と思うでしょう。逆に好きなことが小論文のテーマになるような高尚なことを普段から考えている人にしか、そんなチャンスはやってこないと思ったのではないですか?

 

だったら、自分でチャンスを作ればいいんですよ。難しいことを普段から考えるのではなくて、自分の好きなことを調べて、思考を深めておきましょう。そして、小論文のテーマに合わせて、切り口を探して具体例で持ってきてしまえばいいのです。好きなことの方に小論文のテーマを合わせてしまうのです。

 

以前指導した生徒の中に、「タクシーマニア」がいました。タクシーが好きで好きで仕方がない生徒でした。小論文で大学を受験することになったのですが、事前作文がうまくいかないと悩んでいました。学校の先生に見てもらっていたので、私はタッチしていなかったのですが、どうしてもうまく行かないと言うことで私が見ることになりました。

 

初めて見たとき、すでに何回か添削を受けていた状態で、本来なら提出してもいいくらいの回数みてもらっていたのですが、中身がスカスカでした。というよりも、当たり障りのない、平凡な文章になっていました。どこかの平均解答を見て書いたのですか?という出来でした。

 

そこで、私はタクシーの話を知っていたので、タクシーを使って書いてはどうかと提案しました。タクシーをどうやって使うのかは指導しました。お題が大学卒業後の道になっていたので、タクシーの道に行くのもよし、タクシーに興味を持った話から、大学でも興味を持つものに出会えると持って行ってもよし。使い勝手は非常に良いはずです。最初の文章では、大学に入ってから探しますって書いてあるだけで、それでは大学への目的意識が分からなかったので、良くないと思ったのです。

 

タクシーについて触れながら書いて、それを何度か直しながら、タクシーを前面に出して文章にしました。学校ではそれを否定されたそうですが、そのまま大学に提出しました。そうしたら、面接で大受けだったそうです。タクシーのことを色々と聞かれて、意気揚々と答えられたそうです。

 

結果は見事合格です!

 

当然だと思います。本文の書き方は基本的なルールに則り、誤字脱字は添削で無くしておき、内容がタクシーですから。内容点に大きく響いたと思います。最初の文章では、出したところで内容点は付かなかったでしょうし、面接でも何を聞かれるか分からず、答え方に悩んだと思います。タクシーにして正解だったというパターンでした。



小論文の論じ方とアイデア

小論文の論じ方はアイデアの持っていきかたでいくらでもバリエーションを出せます。論じ方は基本的に三段論法を使っておきしょう。「序論・本論・結論」です。これは以前にもお伝えしましたよね。本論の部分で具体例を持ってきて説明することになりますので、そこでアイデアを使えばいいわけです。

 

アイデアはいろいろなところにあります。特に自分の好きなことなら、色々と知っていくと、小論文で使える側面が色々と見えてくるでしょう。一見するとテーマと関係の無いようなことが、テーマとうまくミックスされているほど面白いものはありません。(もちろん、課題の内容が一般的な知識を問う内容であれば、一般的な内容を説明してください)

 

小論文を書くときに2種類書けるようになると、強くなります。普通に書く場合とアイデアで書く場合です。普通に書くのは、一般的な知識を使って、安全策の書き方です。内容点は狙えませんが、大きく外すこともないので、小論文以外の審査資料に問題が無い限りは大丈夫でしょう。

 

しかし、入試はいつでも安全パイとは限りません。少し上の、いけるかどうか分からないけど挑戦したいって場合もあるでしょう。その時こそ、アイデアを使った文章です。元々AO入試や推薦入試というのは、普通の学力では難しいけれど、大学が求める人物像と合致している人を合格させましょうというものでした。つまり、どういうことを考えていて、どういう勉強をしたいのかがはっきりしているほど良いということです。アイデアを上手く使う絶好のチャンスです。

 

一般入試の場合でも同じです。わざわざ小論文を書かせるというのは、基本的なことを押さえた上で、どういう人物なのかを知るための試験です。添削を受けてきちんとした物に仕上げているかどうか、内容面から大学の求める人物像に合うかどうか、こういった視点があるわけです。当たり障りの無いことは無難かもしれませんが、そういう人物を求めている大学は少ないと思います。

 

アイデアはしっかりと温めておくと本番に役立つはずですよ!



さいごに

今回の内容は、必殺技に近いです。自分の好きなことに引き寄せて書くわけですから。結構この方法を試すと生き生きとした文章になります。ただ、論理の飛躍や文章が長くなりがちです。そのために、その分野をあまり知らない人に読んでもらって、どこが分からないか調査しておくことが必要です。そこを補えばかなりインパクトのある文章になるでしょう。

 

この方法は小論文のみならず、いろいろな文章を書くときにも応用が利きます。高校受験や大学受験だけで無く、就職するときも一種の試験があります。就活ってやつですね。面接だったり、知識の試験だったりしますが、必ずついて回るのが、履歴書と志望理由書です。いわゆる「動機」です。なぜ、うちで働きたいのかを聞かれるわけです。

 

そんなときにも自分の好きなことを関連させて、希望する理由を書けば、インパクトがあります。同じような当たり障りの無いことだと、使い回せるようにしているのかなと思われます。だから、ここでしか使えないくらい希望しているんです!ってアピール出来た方がいいですね。

 

さて、これで小論文書き方講座は終了です。お疲れ様でした。また、違う内容でお会いしましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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