小論文の書き方講座⑨ ーニュースから考えるー




小論文の書き方講座⑨

ーニュースから考えるー

さて、9時間目の始まりです。もうすぐ終わりですね。最後まで頑張っていきましょう。ちなみに前回もお伝えしましたが、基本事項は⑦で一段落しています。⑧からは、書くために必要な「具体例」を探る方法をお伝えしています。

 

みなさん、ニュースはきちんと見ていますか?ニュースは面白くないから見ていないとか、スマホのゲームのニュースは見てるぜ的な感じで済ましている人はいませんか?参考書など必要なく考えられるチャンスがニュースにあります。ニュースの扱い方をお話しします。

小論文とニュースの関係性

小論文とニュースの関係性はとても深いと言えます。全てのニュースがそうなのかというと難しいですが、少なからず考察の対象として関わってくるでしょう。ただし、ここでいうニュースとは、テレビ番組の中での一つのニュースという意味ではありません。複数のニュースを総合的に考えたものを指していると思ってください。

 

複数のニュースを総合するというのはどういうことかというと、同じカテゴリーに属するニュースをひとくくりに考えて、その中で分類分けしておきましょうということです。例えば、教育の問題であれば、教育全般のニュースを取り入れておいて、考えていくわけです。例えば次のようなニュースをストックしておくとするとどうなりますか?

 

「酷暑におけるエアコンの設置問題(全国的)」

「地震によるコンクリート壁崩落問題(大阪)」

「耐震性の問題による学校廃校問題(奈良県)」

 

基本的には学校における問題になるのですが、これは2018年の天災の結果と捉えられそうですが、最後の奈良県立奈良高校(この高校を移転して、移転先の高校を無くすというニュース)の問題は少し違います。これらのニュースをバラバラに聞いたらそれほど関わりが無いように思えますが、実は裏に大きな問題が隠れています。少し考えてみてください。

 

さて、考えてみましたか?

 

私はこのニュースを関連付けるとすれば、「教育予算が少ない」ということと「公的施設の中でも学校は危険だ」ということです。

 

教育予算が少ない」というのは、全国的に同じ状況だと思います。国からの給付割合があるとはいえ、地方自治体に運営が任せられているため、教育予算の割合が住む地域によって異なります。学習指導要領により、学習する内容は全国的に均一化されていますが、設備面に関しては各学校によって変わるので、注意が必要です。

 

公的施設の中でも学校は危険だ」というのは、世の中の発想からすると逆転しているかもしれません。災害があった場合の避難所になるのは学校です。そのため学校は頑丈に作られていると思われがちです。確かに頑丈な造りなのかもしれませんが、それは建設当時の学校です。今や50年以上経過している学校がたくさんあります。つまり、公的機関の中でも老朽化が激しいのです。コンクリート壁が倒れたのはたまたま1件でしたが、亀裂が入ったり、危険な状況になったりしているものがたくさんありました。

 

他にも、体育館の屋根が落ちてくるニュースが度々報道されます。避難所になるはずの体育館がそのような状況なのです。また、校舎に関しても耐震性の問題から、補強工事がされました。ほぼ完成している地域もありますが、まだまだ追いついていないところも多いです。奈良高校の件も同じです。地震が来れば崩れてしまう可能性が高いのです。生徒の命、教員の命、ともに軽く見ている証拠でしょう。

 

異なる三つのニュースから「教育予算」へと連想しました。そして、教育予算から調べていくと、さらに情報が広がっていくことでしょう。



小論文のための思考とは?

小論文のための思考とは、上記で説明したように、複数の物事から本質や共通点を見いだして考えることです。一つ一つ関わりのないように見えても、実は物事の本質は大きな問題と繋がっていることがあります。

 

上の絵を見て説明しましょう。

 

私たちが普段触れる事件は木の葉っぱや実にあたる部分です。それはぱっと見れば分かります。そして、それぞれの葉っぱには枝があり、そこが原因となります。単体で考えた際の原因になります。

 

「○○君が△△君に暴力を振るった」

 

とあったとしましょう。この場合、事件は「暴力を振るった」ことです。そして、どうして暴力を振るったのかを聞くと、「△△君にからかわれた」と言ったとしましょう。これが、枝の部分「原因」です。これで○○君を叱り、△△君に謝らせたら、この事件は解決するでしょうか?しかし、数日後、○○君が今度は□□君に暴力を振いました。

 

さて、この解決方法はよくありそうですよね。起こったこととその原因だけ追及して解決するやり方です。しかし、この問題には本質に介入できていないので、解決はありえなかったのです。

 

本質的にあったことは「このクラス全体が、○○君を馬鹿にしている状況にある」でした。このことを解決できない限り、○○君は我慢できずに暴力を振るってしまいます。それもできなくなると○○君は学校に来なくなるでしょう。

 

つまり、物事の本質を捉えずに、表面的なことだけをいくら対策しても意味が無いのです。

 

思考するとは、この物事の本質を捉えて、出来事を捉え直すことです。絵のように物事の本質が一つで大きな事件がたくさん起きる場合もありますが、いくつかの本質が重なり合っている場合もあります。

 

この本質に関わる部分にしっかり意識がいき、引き出せるようにしておくと、読み手にかなりのインパクトを与えることができます。若くして、物事の本質に気づいていれば、評価がぐんと上がるのです。これは練習しておかないとできません。大人になっても本質に気づけない人はたくさんいますからね。



さいごに

今回は具体例を引き出すために使える「ニュース」へのアプローチをお伝えしました。複数の情報からその「共通点を見抜く方法」を使うこと。そして、「事件」「原因」「本質」を捉えると言うことです。

 

これまで普通に受け流していたことでも、きちんと頭を使って捉え直すと、見え方や考え方が変わってきます。みなさんも少し視点を変えて考えられるようになってみましょう。

 

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