小論文の書き方講座③ ーありがちなミスー
小論文の書き方講座③
ーありがちなミスー
今回は三限目です。そろそろ読むのも慣れてきたでしょうか?これまでの話で読解も大切だと言うことはお伝えできたと思います。このサイトの記事を読むことも、小論文のトレーニングになるはずです。私の言いたいことを拾ってみてください。
小論文を書き始めると、初心者が犯しがちなミスがあります。これは普段の練習から気をつけて防ぐようにしないといけません。練習不足だと、本番での緊張からやってしまうこともありますので、緊張状態でもベストを尽くせるようにしておきましょう。
目次
小論文の練習で書きすぎてしまうパターン
小論文の練習をするときに、書くことができないというのは、これまでお話したとおり、読むことができていないから書くことができないのです。書く内容が浮かばないからです。しかし、次のステージに進むと新たな問題が発生します。
字数オーバー
これが意外と多いのです。本文からキーワードを拾って書こうと思うと、たくさんあって字数内に収まらないという状況です。また書くことが苦手ではない人も、書きすぎる傾向にあります。せっかくネタがあるから、全部書いてしまいたいと思ってしまうのです。また、思いついたことを思いついたままに書くと、これもまた字数が超えてしまいます。しかもこのパターンの人は最悪で、次に説明する「論理の飛躍」も起こしがちなのです。
しかし、字数オーバーは御法度です。入試においては、相手の条件を無視していることになりますので、採点されなかったとしても文句は言えません。
この事態を防ぐためには、キーワードを選別する必要があります。いくつか言いたいことがあったとしても、「主張は一つ」に絞ります。その主張を説明するのに大切なキーワードを選別して用意する必要があります。800字、1000字、1200字あたりで使えるキーワードの数が変わってくるでしょう。字数ごとの練習をしておくことが大切になるでしょう。
キーワードを出せるようになったら、字数内に収める練習を繰り返してください。そのうち、字数ごとにいくつのキーワードが使えるかつかめるようになるでしょう。こればかりは、人によって異なります。書きやすい字数というのがありますので、分析しておきましょう。
小論文で多い「論理の飛躍」と「主語のねじれ」
小論文の添削をしていると、「論理の飛躍」と「主語のねじれ」が非常に多いです。この二つをやってしまうと、言いたいことがストレートに伝わりません。大体この手のミスをされると、Aという風にも取れるし、Bという風にも取れるといった感じになります。このどちらかが言いたいことであれば良いのですが、どちらでもないという事態では、文章の構成そのものがミスしていることになってしまいます。
「論理の飛躍」
論理の飛躍というのは、順を追って説明しないといけない状況なのに、相手も分かっているだろうと思って、飛ばしてしまうことです。
正規ルート : A → B → C → ゴール
飛躍ルート : A → ゴール
このような形になります。具体的な例で説明します。
マジマナは高校の時、古典の授業が一番分かりませんでした。だから、大学では古典を研究しました。
この例文は、私を例にしましたが、事実を並べました。しかし、一般的な文章の流れとしてはおかしいです。「一番分からない」のであれば、「嫌いになりました」や「古典の試験がない大学を受けました」などになります。
この例文のままでは、「論理の矛盾」と捉えられる可能性もあるでしょう。そこで、この流れがつながるように手順を踏んで記述します。
マジマナは高校の時、古典の授業が一番分かりませんでした。しかし、先生が前で授業をしているのを見て、私には分からない古典の世界が広がっているのだと思うようになりました。そこで、古典の世界を極めたいと思うようになりました。だから、大学では古典を研究しました。
さて、どうでしょうか。もう少し詳しいエピソードがあるのですが、省いて表現してみました。これならば、なぜ大学で古典を研究したのか話が通じるようになりましたね。論理の飛躍は気をつけないと自分では分かりません。必ず誰かに見てもらって、飛んでいるところがないかチェックしてもらいましょう。
「主語のねじれ」
この内容についてはすでに一度触れています。「小論文の書き方を調べている人は要注意!?「コツ」「型」にだまされるな!」に書きました。「は」や「が」を連続で使用すると、どこが主語か分からなくなってしまうのです。もちろん、それ以外にも主語をはじめに書いておきながら、途中で主語が変わっているので文末表現と合わないというパターンもあります。
主語のねじれを引き起こす原因として、一文を長く書きすぎることも挙げました。長い一文を書いていいのは、ある程度熟練になってからです。私もブログ記事はなるべく短文にしています。ある程度長く書くことができますが、文章に不慣れな人を対象としているためです。
他にも「てにをは」の間違いも主語のねじれを発生させます。「そんな一字で変わるのですか?」と思う人もいるでしょうが、結構重要なのです。
若者は お年寄りに 席を 譲った。
こういう風に「てにをは」はついています。これを間違えるとどうなるか、見てみましょう。
若者は お年寄りは 席を 譲った。
さて、「は」を連続で使ってしまいました。これでは、席を譲ったのが、若者なのか、お年寄りなのか分かりません。正確には主語のねじれとは言わないのですが、同じようなミスです。
若者に お年寄りは 席を 譲った。
今度はいかがでしょう?文意は通りますね。しかし、今度はお年寄りが席を譲っています。元気なお年寄りでしたって話なら良いのですが、本人は最初の例文の意味で書いたとすれば、文意が変わってしまいます。このミスが一番痛いのです。相手に間違って伝わってしまいますからね。
若者は お年寄りに 席は 譲った。
さて、これは本当にややこしいですよ。「は」が二つあるので、主語が二つあるように見えます。しかし「は」の用法に「強意」があります。「他のものはさておいて」というニュアンスがあります。こうなると、「若者は席を譲る」という行為が立証されますが、問題は、何かは譲らなかったようです。一体何でしょう?気になりますね。
この「は」の使い方は、次のような文の時に使います。ある日、教室の窓が割れていました。誰かが遊んで割ったようです。みんなは、なんとなくあの子だろうなという確信があります。なぜなら、教室で野球をしていたからです。しかし、本人は名乗り出ません。先生がある生徒を指名します。
「おまえがやったのか?」
「私 は やっていません」
さて、この「は」にはどういう意味を含むかというと、「他の人はどうか知りませんが、少なくとも私はやっていません。」という意味になります。つまり、「犯人は他にいる」と言っているようなものなのです。
このように一文字の違いで、意味が変わったり、主語が変わったりします。「主語のねじれ」から派生して、いろいろなミスにつながりやすいので、「てにをは」は意識して書くようにしてください。
さいごに
今回はよくやりがちなミスについてお話ししました。「てにをは」の問題に関しては大人でもやってしまいがちです。国語の先生をやっていると、大人が作った資料でも間違っていると気になってしまいます。もちろん、流れから文意をくみ取りますが、この人が書くノートにはたくさんミスがあるのだろうなと思ってしまうのです。
ただし、「てにをは」のミスは会話をする場合はそれほど気になりません。前後文脈が常に生きてきますので、少しミスってもうまく行くのです。しかし、文章で書くとなると、厳密に活かされてきますので、命取りになってしまいます。
しっかり意識して使うようになれば苦労しませんので、今まで意識してこなかった人は意識を改めてみましょう。
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