覚えることと理解すること①




覚えることと理解すること①

 

林太郎
林太郎

先生、覚えることがいっぱいあって、頑張って覚えたのに、あんまりテストに出ないってことが多くないですか?

majime
マジマナ

確かに。覚えたところが全て出るわけじゃ無いですからね。100個覚えて、100個出たら、それでテスト終わっちゃいますしね。

ひかり
ひかり

でも、覚えることを全部覚えたつもりになっても、100点取れないですよね。どうしても覚えただけでは得点できないところがあります。

majime
マジマナ

そうだね。例えば古文単語帳をいつも小テストしていて、それをテストに組み込もうと思ったとき、5点か10点分って考えますね。基本的には教科書の内容を聞きたいので、配分比率は少なくなってしまいます。

林太郎
林太郎

5点10点のために勉強しようとは思えないです。

majime
マジマナ

生徒の側からするとそうかもしれないね。でも、出題する先生はサービス問題だと思っていることが多いんだ。小テストでやったことから5点も10点も出るんだよって思うんだね。

林太郎
林太郎

先生ってそういう風に考えるんですか?

majime
マジマナ

覚えればいいことは、比較的ハードルが低いと思っているんだ。特に小テストでやったということは一度覚えている内容だから、覚えているだろうという考えを持ってしまうからね。

ひかり
ひかり

生徒の側からすると、もう一度覚え直さないといけないから、結局負担になってしまうんですけどね。

majime
マジマナ

試験を作る立場からすると、覚えることと理解することの両面を問うことを目的とします。特に国語の場合は、理解しているかを聞きたいので、覚える問題に割く量を最小限にしたいのです。

林太郎
林太郎

そうなんですね。

majime
マジマナ

だから、知識は3割から多くて5割ですね。それ以上聞く場合は、生徒の様子を見て、勉強できないなと思えば増やすかもしれません。

ひかり
ひかり

知識問題の量の少なさは、私たちのレベルの高さを表すんですね。

majime
マジマナ

そうだね。覚える問題の配点が高くとも、覚える量をあえて多くして問う場合は、レベルが高いと言えるね。

林太郎
林太郎

試験の作り方で、先生がどのように見ているのかが分かるんですね。

majime
マジマナ

では、今回は教える立場からみて、覚えることと理解してほしいことの違いを説明していきましょう。

 

覚えるべき対象とは?

覚えるべき対象は教科によって大きく異なるでしょう。英語なら単語や文法、数学なら公式になると思います。国語で言うとものすごく広い範囲となります。現代語、漢字、古語、古文文法、漢文の文法、文学史・・・多岐に渡ります

 

塾で全教科を教えた経験と、国語の教員免許を持っているので、現場を見てきた経験からしても、国語の覚えるべき対象の量が半端なく多いです。社会科も多いですが、用語と歴史の流れが関連しているので、「理解+暗記」の形が取りやすいので、暗記もしやすいと思います。

 

しかし、国語の「単語」を覚えることに関してはものすごい量です。現代語に関して言えば、これがゴールというのがありません。評論文でよく使われる単語を集めた単語帳があるので、それらの言葉は理解しておくべきですが、それで全てだとは言えません。難しいところですね。

 

そこで、覚えるべき対象とは、自分の知らないことをどんどんと覚えていくべきだと思います。その中でも、入試に良く出るものが重点的に覚えるものだと言えるでしょう。

 

さて、教える立場に立って、定期テストを作るときに、覚えるべきものと考えるのは何かというと、「授業で扱ったこと」です。授業中に説明したことや注意すべきポイントとして取り上げたものは、もはや考えるべき事ではありません。「理解して覚えておいて欲しい」のです。

 

定期テストは「授業で習った所から出す」が前提になっています。もちろん、定期テストの出題範囲に「授業で習ったところに関連する内容を出します」と注意書きがしてあれば、+αの問題も出されるでしょう。しかし、そういった前提がなく、テスト範囲を示しているのであれば、それを超えて出題してはいけません。説明もなしに出題するのは違反だと思っています。

 

そのため、私のテストは、授業で習ったところから「しか」出ません。授業で習った教材とその中で考えた設問、学年共通で配ったプリントの問題、小テストの範囲から出します。100%やったことです。もちろん、学年の状況に応じては、文学史や+αの指定範囲を足すことがありますが、基本的には授業でやったことだけです。

 

覚えるべきポイントを広げて、平均点を抑えて成績をつけやすくするという手が流行っていますが、私は点数が高くてもいいから、勉強したらその分点数になったというテストにします。

 

なぜそうするかというと、覚えるべきことは繰り返して覚えるしかありません。定期テストで急に出てきた問題は、分からないまま終わります。誰の力にもならない問題に1点でもつけるのが嫌だからです。

 

ということで、覚えるべきポイントは授業でやったことです。このことは私の高校の先生の考えの影響を受けています。

 

「受験の時に必要な知識は、普段の授業を100%ものにできれば、受験勉強を改めてしなくても合格できるはずだ」

 

でした。当時は信じていませんでしたが、私は授業計画を作るとき、担任をする学年の場合、1年から3年までの学習計画を先に立てて、必要な知識は全てカバーできるようにしています

 

これはすごいことではなく、本来そうすべきなのです。しかし、時間の無い現場では行き当たりばったりになって、カバー出来ていないこともあるので、注意が必要です。こればかりは、入学して授業を受けてみないと分からないので、運といえるでしょう。

 

林太郎
林太郎

授業でやったことは覚えるべきこと。たしかにそうかもしれない。一度分かったものは覚えておいた方が効率が良いですよね。

 



間違った覚え方

基本的には授業でやったことを覚えておいて欲しいのですが、間違った覚え方があります。それが、「理由も分からずに丸暗記する」ことです。

 

単語や文法など、どうしても覚えないといけない部分は丸暗記で構わないのですが、それを使う方法や見抜く方法は、理解して覚えておいて欲しいです。また、文章の内容や問題の答えまでの過程については理解して覚えておいてください。間違っても国語の問題の解答だけを覚えて、それで定期テストをクリアしても意味がありません。

 

国語の問題を作る際に、一度解いた問題を聞いたところで意味が無いと言われることがあります。それは「生徒は解答だけを覚えてくるから」という理由です。それは生徒を信用していないことに繋がると思います。国語が苦手な生徒はそうしてくるでしょうが、きちんと内容を押さえた上で覚えてくる子も多くいるはずです。選択肢を入れ替えることや選択式と記述式を変更するなど、微細な変更で理解を問うことも可能なので、同じ問題で充分だと思います。

 

ただ、そうした変更を「解いていない問題を出題した」と言うのは間違っています。そういう人は、丸暗記をしているからでしょう。丸暗記の人からみれば、答えが変わるので、違う問題になったように感じるのでしょうが、それは、丸暗記の人が悪いです。私はそういう人には手厳しいです。

 

きちんと理由が分かった上で覚えるようにしていってください。

 

ひかり
ひかり

ノートに書いてあることを丸暗記する方法は中学生の方法ですよね。高校生の勉強は「理解」と「暗記」でしたね!

 



さいごに

今回は定期テストを作るときの意識を紹介しました。定期テストを作るときの考え方とか発表してしまえば良いのにと思います。どこを出すかとピンポイントで聞かれるとテストの答えを教えることになるので、答えられません。しかし、先生はどういう風にテストを作りますか?と作り方を聞かれたら答えることが出来ます。

 

私のテストは簡単です。授業でやったことの中で、入試に出る可能性の高いものから優先的に出題します

 

入試に出やすい問題というと、偏っていると言われるのですが、良質な入試問題ほど、基本的な知識や理解がないと解けないものになっているのです。いわゆる「良問」です。

 

一個人の好き嫌いで作った問題なんて、「悪問」そのものです。そんな問題ばかりを出して満足しているのは逆に駄目だと思っています。問題を作るには問題を多く解いて、状況を理解しておかないとできません。教師で勉強することを忘れた人にはできないことです。忙しいですが、自己研鑽を忘れぬようにして努めていかないといけないわけですね。

 

次回は理解すべき事柄について説明しますね。

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