小論文の書き方講座② ―要約とキーワードー




小論文の書き方講座②

―要約とキーワードー

 

小論文書き方講座、二時間目です。

前回は「論理(ロジック)」について説明しました。主張・根拠・理由付けを押さえた上で、「帰納法」と「演繹法」という記述方法があることを説明しました。

 

みなさんは「演繹法」を使って書く練習をしましょう。始めに言いたいこと(主張)を述べて、そこから根拠、理由付けを行って完成させましょう。

 

さて、今回は書くための準備として「要約」と「キーワード」についてお話しします。

 

小論文では課題文が必須?要約力が求められる!

小論文のテーマを調べた記事を書きました。(「小論文のテーマってどんなものがある?」)そこで述べたように、現在の入試の小論文では、課題文が与えられて、それを踏まえて書くものがほとんどでした。

 

※2020年度版も公開しました!

2020年版小論文テーマの傾向とは?(国公立推薦編)

2020年版小論文テーマの傾向とは?(国公立大一般入試編)

 

ということは、課題文をしっかりと読み取って、筆者の主張を正確に捉える必要があります。これができないと、そもそものスタートラインに立てないわけです。間違った情報を元に書いたって、結果は間違った方向に行きます。そうならないためにも、しっかりと読み取る練習をしましょう。

 

読み取ることができたら、要約して、自分の文章に引用します。引用をするために必要なのが、「要約」です。本来ならば、引用というのは筆者の表現をそのまま書くのが通例です。字数が多い場合はその方が良いでしょう(2000字以上求められる場合)。しかし、大抵の小論文では字数が短いので、引用している余裕はありません。そのため「筆者は○○と論じているが……」といった感じで使うしかありません。そのためには筆者の主張を要約しておく必要があります。

 

本文の「読解と要約」。この二つが大切になってきます。小論文って書く前の準備が大切なのです。書けないのは、書く力が無いというわけではなく、書く準備が整っていないからなのです。おかしな話に聞こえるかもしれませんが、書くことができないのは、読むことができていないことに起因するかもしれません。しっかりと読み取り、要約する練習をしておきましょう。



小論文を書くためのキーワードを拾うには?

小論文を書くための準備として、必要な「キーワード」を拾っておくことを説明します。これは要約とも関連してきますが、まずは課題文から「キーワード」を拾います。

 

キーワード」とは、「筆者の主張と密に関わる言葉」です。筆者の主張を的確に捉えられれば見抜けるのですが、初心者はここが難しいポイントとなります。初心者が取り組む場合には、「キーワードは繰り返し使用される」という原則を利用するといいでしょう。

 

なぜ繰り返し使用されるのかというと、主張を述べようとすると何度も同じような言葉を繰り返さないといけないからです。「大事なことは二度言う」という言葉を聞いたことありませんか?学校の先生が授業をしていて、同じことを二度言ったら、そこは重要なのです。もっと繰り返したら、それだけ大切ってことです。そういうところをノートにメモしておくとテスト勉強も楽になりますよ。

 

話が逸れたので戻しますと、同じことが評論文の中でも起きてきます。ただし、ここで注意が必要です。「キーワードは表現を変えて繰り返し使われる」という言葉に変更します。そのまま同じ言葉が繰り返されるわけではありません。同じような言葉で言い換えられて使われています。そのため、小学生のように本当に丸々同じ言葉を探してはいけません。同意表現かどうかを考えながら見ておく必要があります。そのことを念頭に置いて評論文を読んでみると、同意表現を探すことができるようになります。

 

同意表現を探す練習は、本文読解の際に「線を引きなさい」と言われる場所が見えてくるようにすることです。評論文で線を引くポイントは、筆者の主張となる箇所です。主張となる箇所を捉えたら、線を引きます。そこから、言い換えられたり、補足されたりする部分で同意表現に線を引くわけです。そうしてつなげて読んでみると、筆者の主張が一本の線のように見えてくるのです。

 

キーワード」を拾うと言うことは、同意表現を含めて最も多く繰り返されている言葉を拾うということになります。そのためには本文読解に力を入れる必要があります。現代文の授業で、ただなんとなく線を引かされていた人は、その線を見直してみましょう。筆者の主張と関わってくるはずです。それ以外の無駄な部分に線が多い場合は、その授業が少し怪しくなってきます。皆さんがどれくらいのレベルの授業を受けているかで変わってくるので、手元にあるものを見直してみましょう。



おわりに

さて、今回の話はここまでとしましょう。

 

書き方講座ですが、書くためには「読む」が必要です。そして、そこでスキルが無いと書くことができなくなってしまいます。この読む部分を省略して、書いて練習して本番に臨む人が多いです。そのようなやり方は「読むレベル」によって仕上がりが変わってしまいます。きちんと読み方をトレーニングしていないのなら、焦らず読む練習をした方がいいでしょう。キーワードが拾えない段階では話にならないからです。

 

キーワードが拾えるようになったら、それを使って書く練習ができます。それまでは特訓が必要です。

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